京都大学ELCAS(エルキャス)

平成27年度以前のレポート

化学

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実習指導

武田 和行  (分子構造化学研究室 准教授)
野田 泰斗  (分子構造化学研究室 助教)

チューター

なし

ボランティア

なし

実施場所

吉田キャンパス 理学研究科6号館 375/377/076号室

実習内容

 核磁気共鳴(NMR)の原理について講義を行った。原子核の磁性(スピン)や、スピンが周囲の化学的環境によってどのように振る舞うか、またどのような原理でNMR信号が検出されるか、さらに信号を処理するフーリエ解析の数学的な解説を行った。そしてNMRからどのような化学的な情報(分子の構造・ダイナミクス)を抽出し得るかを説明するとともに、その本質的な理解のためには物理学・工学・数学等、化学の枠を超えた勉強が不可欠であることを強調した。
 また実習の後半ではグラニュー糖および粉末アミノ酸(アラニンおよびヒスチジン)の固体NMR実験を行った。測定試料を超電導磁石に挿入し、圧縮空気を用いて試料を毎秒1万回転以上にまで高速回転させ、高周波回路のチューニングを行い、炭素核のNMR測定を行った。同じ炭素原子核であっても、化学的に異なる環境にあるとそれに応じてNMR信号の周波数が異なることを確認した。
 さらに固体NMRを用いて、原子間距離の測定実験を行った。アラニンの窒素核に対して選択的に電波の照射を行うことで、窒素に直接結合した炭素のNMR信号のみが変化することを観た。またヒスチジン分子の異なる炭素核の間に作用する磁気的な相互作用を利用して、炭素間の距離相関を観測した。

バルブ操作で圧縮空気を吹き付け、試料を毎秒1万回転に高速回転させている様子
バルブ操作で圧縮空気を吹き付け、試料を毎秒1万回転に高速回転させている様子 

窒素核に高周波照射を行い、近接炭素核のNMR信号の変化を見る実験の様子
窒素核に高周波照射を行い、近接炭素核のNMR信号の変化を見る実験の様子


受講生の感想

  •  その原子の種類にあった周波数の電磁波を当てることで核が共鳴するというのを聞いて驚いた。その原子核の質量数に応じて決まっているのだろうか。共鳴しない原子核もあったので、それらはなぜ共鳴しないか気になった。NMRを利用することで分子構造や、物体の内部を壊さずに見ることができることにも驚いた。自分の体を形づくる原子の中の原子核が毎秒4000回も回ってるなんて信じられない。とても面白かった。
  •  これまでの実習で、NMRを用いて構造解析を行ったことがあったが、今回はそのときに疑問に思っていたことを全て解消することができた。核磁気共鳴に限らず、現代では様々な分野の壁を超えて研究することが大切とされているが、今回学んだNMRについては、他に劣らないほど他分野に関連しているということが分かり、とても興味深く感じた。また、実習の中で実際に装置を触らせて頂けることができたので、貴重な経験ができて、誇りに思える実習にすることができたと思う。進路を考えるにあたって、今回の実習は自分の興味ととても合っていたので、将来進みたい分野を決める上で、参考にしていきたいと思う。
  •  今回は前回少し扱ったNMRの原理について学び実際に使った。核磁気共鳴は前の講義で「本当に難解なもの」だと教えられており、実際難しいらしいが、今回の講義で学んだ部分は理解できた。NMRは化学の分野だけでなく、物理や医学など様々な分野で活用されていることを知り、原理を少し学んだことで前回の波の性質の利用と重ねてかなり応用できるものだと思った。ネットなどで核磁気共鳴がどのような場所で利用されているか、調べたいと思う。
  •  前に有機化学の研究室でNMRを使いましたが、今回はそれがどういう原理なのかを知ることができてよかったと思いました。いろんな分野が絡んでいて複雑できたが、とても面白い内容でした。
  •  今回は予定表に「核磁気共鳴」とだけ書かれており、具体的な内容が全然予想できなかったのですが、講義ではNMRについて、どのようにして活用しているかや、どんな解析をして図にしているかがわかりました。実験ではグラニュー糖や2つのアミノ酸を実際にNMRを使って解析しました。とても内容は難しかったけれども、今後この経験が役立てば良いなあと思いました。
  •  本日は大変貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。前回までで、NMRを使ったことはありましたが、仕組みが全くわからなかったので、今回は分かりやすくお教え下されたおかげで、おおよそ理解することができて、よかったと思っています。普段、学校で習う分子の1つ1つをNMRによって状態を知っていると考えると、NMRの大切さがとても感じられました。あと、言いそびれましたが、最近楽しかったことは、21日にノーベル賞の山中教授を初めて生で見たことです。本日は本当にありがとうございました。
  •  テーマを見て「苦手な物理だ・・・」と思ってしまったが、実際に先生の説明を聞くと苦手だから避けて通れるものではないと分かった。MRIは撮ったことがあり、本当に磁石の間に入っていたのだと実感できて面白かった。グラニュー糖とアラニン、ヒスチジンのスペクトルを見る前にしくみについて知れて、前にも測定したことはあってもその意味が分かっていなかったのが分かって嬉しかった。私が志すのは薬剤師だが、化学や生物は好きでも、物理や数学は好きではない、今回の講義で多くのことがつながってくることが分かったので、幅広く、まんべんなく勉強していきたいと思う。ありがとうございました。
  •  基盤後期第2回で今回使った機械は使ってはいたが、その時は触媒の合成がメインであったため、詳しいことは殆ど教えてもらわなかったが、今回フーリエ解析を教えてくださったことによって、核磁気共鳴のことだけではなく、第2回時の結果についても理解が深められたように思う。

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