京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース後期]数理工学

2017年2月4日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究8号館319号室

  • 当日の講師

    船越 満明 教授(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)
    西村 直志 教授(複雑系科学専攻 応用数理学講座)
    吉川 仁 准教授(複雑系科学専攻 応用数理学講座)
    宮崎 修次 講師(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)

  • チューター

    柳沢 かおり、菅 大地、伊井 海生

  • 実習の内容

    数理工学分野の実習に関する発表に備えてプレゼンテーション用のファイルを作成した。興味を持った分野によって2班に分かれ、班ごとに作業を行った。

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 成果発表会に向けて、これまで学んできたことをまとめた、発表資料作りを行った。2つのグループに分かれて、それぞれ発表テーマを変えることにし、私の所属するグループは、1~3回目の講義で行った、熱伝導現象について発表することにした。まずまず納得のいく資料ができたと思う。
  • 発表に向けての準備を行った。パワーポイントは中学生のときに使ったことがあり、かっては知っていたが、これまでの実習の内容を説明しようとすると、勘違いしていたことや、わかっているつもりになっていたことがあり、とても苦労した。今後、高校に限らず、こういった機会に恵まれたのならば、勘違いやわかったつもりには十分に気を付けていきたい。また、発表時間が短いために大まかな説明しかできないようなので、それが歯痒いところでもある。研究発表会で発表するという機会は、SSHでもない限り高校生では滅多にないので楽しみである。

2017年1月21日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究12号館317号室

  • 当日の講師

    宮崎 修次 講師(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)

  • チューター

    江川 恭平、角谷 祐輝、長尾 崇弘

  • 実習の内容

    ○第8期専修コース受講生の経験談と質疑応答
    ○EinsteinのAnekdote(相対論をわかりやすく説明することを頼まれたアインシュタインの反応)
    ○プラズマと分光
     電子レンジプラズマの観察: 何が、どのように光っているのかを予想。 調べる方法を検討する。
     物質が光るメカニズムの紹介: ドルトンの原子説と原子の構造。  スペクトル管の演示。
     分光という手法の説明および実験: 分光すると何がわかるのか。
      実際に見てみる1(簡易分光器)
      実際に見てみる2(弊社製品)
     実験結果の吟味:画像の取得とスペクトル解析。 さまざまな実験データとの比較。
    ○カオス・フラクタル
     chaos, 混沌という言葉: Ovid。 荘子 七竅に死す。 ラプラスの悪魔・ラプラスの魔女(東野圭吾)。 饂飩ってどう読むの。
     予測できない簡単な例: (スマホ)の関数電卓のiteration。 0以外の初期値に対して正弦(cos)のキーをたたき続けると? 2乗して2を引くiteration 有効桁数が違うと何が起こるか。
     二重振り子の実演(関数電卓の実習との関連の指摘): 二台を使って、同じ初期状態から出発してもその後の運動が全く異なり、不規則な運動をする
     ロマネスコの回覧
     海岸線のフラクタル次元
    ○複雑ネットワーク
     実在するネットワークにほぼ普遍的に現れる性質
     (1)スケールフリー性(極端な偏り・独り勝ちが生じやすい不均一な性質)
     (2)スモールワールド性
      (a) Oracle of Bacon(映画の共演ネットワーク)とBacon数
      (b) YASIV (amazon) の紹介 http://www.yasiv.com/
      (c) ピコ太郎のPPAPの普及過程
      (d) 意思決定のネットワークモデル(EU離脱,トランプ勝利)
    ○散逸構造・粉体
     プリゴジン(1977年ノーベル化学賞受賞)とは
     散逸構造とは
     化学対流演示(コーヒーフレッシュ+イソジンうがい薬+アルミシャーレ)
     雲ロール(オホーツク海)とMorning Glory(オーストラリア北部など)映像上映
     チューリングとは
     エニグマの映画(映像があれば上映)と暗号解読の話
      チューリング・パターンや松ぼっくりの形状と黄金比の話
     粉体のブルーバックス的解説

  • 数理工学_実習風景ガス管放電実験の回折格子を用いた簡易分光器を用いた観察
  • 数理工学_実習風景電子レンジプラズマの分光器によるスペクトル測定
  • 数理工学_実習風景二重振り子を用いたカオスの初期値敏感依存性の実験

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 今回の活動は前回までの実習とは異なり、非常に幅広い分野について、それぞれの講義を受けた。そのなかでも印象に残っているのが、講義の前半での先生の言葉である。研究をするのに高価な機材がなければできないというわけではなく、考え方さえ合っていれば、ごく一般家庭にあるようなものでも実験は可能だという。実際、分光観測の講義では電子レンジの中でプラズマを発生させ、それを紙でできたお手製の分光観測機で観察した。科学の世界では、規模が大きすぎて直接検証できない理論は多く存在する。しかし、物理法則さえ同じであれば、全く別の方法で、しかも簡単に検証できるようになることもあるという。”視点を変えて簡単に実験する”ということは科学全体で非常に重要なことなのかもしれない。また、電子レンジの中で発生させたプラズマも、根本的な原因はまだ解っていないらしい。こういった身近なところにも、まだまだ解っていないことがあることにとても興味が湧いた。
  • 電子レンジにシャープペンシルの芯を入れて加熱するとプラズマが発生し、発光するという現象の実演をした。電子レンジが発生させるマイクロ波の波長が、シャープペンシルの芯の長さの、定数倍になっているため、芯の中に電流が流れているようだが、まだ詳しいことはわかっていないそうだ。また、カオス、フラクタル、複雑ネットワーク、散逸構造などに関する、いろいろな話があった。それぞれの話がとても興味深く、電子レンジで発生するプラズマの謎が、まだ詳しくは解明されていないということなので、探せばまだ解明されていない謎があり、それを研究するのは楽しそうだと思った。

2017年1月7日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究8号館 第3講義室

  • 当日の講師

    船越 満明 教授(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)
    宮崎 修次 講師(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)

  • チューター

    田尻 華奈、黒野 景介、北原 稔也

  • 実習の内容

    1.プログラム作成に使用するソフトウエアOctaveの、実習に必要な機能等の補足説明を行った。
    2.ロジスティック写像の解のパラメータa のいろいろな値に対する振る舞いをまとめて見るために、a の値を一定間隔Δa で変えていき、各a に対するym, ym+1, ym+2,…,yN の値を、横軸a, 縦軸y のグラフに示す実習を行った。
    3.ロジスティック写像のカオスおよび周期点の窓領域の詳細な計算をする実習を行った。
    4.写像の固定点、周期点の説明、およびニュートン法の説明を行った後、ニュートン法を用いたロジスティック写像の固定点、周期点の計算の実習を行った。

  • 数理工学_実習風景実習の様子
  • 数理工学_実習風景チューターによるプログラミングの説明
  • 数理工学_実習風景担当教員による説明

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 前回の講義のときに作ったグラフの性質についての説明を受けた。グラフは、変化させる値が小さいときは、値が変化せず(固定点)、変化させる値が大きくなってくると、2回で同じ値に戻って来る2周期点、4回で同じ値に戻って来る4周期点、8周期点、、、を経て、秩序のわからなくなる「カオス」の状態になるということ、カオスの状態の中に、急にグラフが単純になり、3周期点などが現れるときがあることを学んだ。また、固定点や2周期点をニュートン法で求めるやり方を習った。
  • ロジスティック写像の固定点と周期点を調べた。細かく調べれば調べるほど、その複雑さが明らかになり、圧倒された。ニュートン法を使って難しい方程式の解き方を学んだ。

2016年12月17日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究12号館 003講義室

  • 当日の講師

    船越 満明 教授(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)
    宮崎 修次 講師(複雑系科学専攻 非線形物理学講座)

  • チューター

    田尻 華奈、黒野 景介、北原 稔也

  • 実習の内容

    1.1次元写像の具体例としてのロジスティック写像の意味や数学的表現について、担当教員が説明を行った。
    2.プログラム作成に使用するソフトウエアOctaveの実習に必要な機能等の説明を行った。
    3.さまざまなパラメータに対するロジスティック写像の振る舞いの計算や図示の実習を行った。具体的には、以下の計算等を行った。
    (1) パラメータa のいろいろな値に対して、写像関数のグラフを描く。
    (2) 初期値y1 とパラメータa のいろいろな値に対して、y1, y2, y3,…を計算し、それを横軸n, 縦軸yn のグラフに表して、振る舞いを見る。
    (3) いろいろなa の値に対する振る舞いをまとめて見るために、a の値を一定間隔Δa で変えていき、各a に対するym, ym+1, ym+2,…,yN の値を、横軸a, 縦軸y のグラフに示す。

  • 数理工学_実習風景担当教員による全体的説明
  • 数理工学_実習風景実習内容の説明
  • 数理工学_実習風景実習風景

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 1次元写像という、ある時点での値ynが決まれば、次の時刻の値yn+1を定めることができる、という式をOctaveに計算させ、グラフにして出力した。式の中の値を変えていくと、あるところまではきれいな結果が出るのだが、どこからか値が乱れてきて、どこかに秩序があるようで無秩序な、ギザギザとしたグラフができた。このグラフがどのような振る舞いをするのかを見るためのプログラムを作っている途中で時間が来て、なぜこのようなグラフができるのかは、次回まわしになった。後日、家でこのプログラムを作ることに成功して、どうなっているのかよくわからない結果が出たので、次回の講義が楽しみだ。
  • 基盤コース後期の実習が後半に入り、内容が熱伝導からカオスと非線形現象へと変わった。 今回の実習では、現象を数式で表す”モデル化”の1つとして、理想化された状況下でのある昆虫の集団の個体数を扱った数式を考えた。昆虫のある世代の個体数を決定するのはその1つ前の世代の個体数のみと考え、それをもとにすると1つの変数からなる関係式が導ける。このように、現在の状況のみから計算して1つ先の状況を導く数式を一次元写像と呼び、特に二次式の形をとったものをロジスティック写像という。 今回、ロジスティック写像を計算するプログラムをつくり、動かしてみると、それを表すグラフが式の係数の値によって全く異なるふるまいをすることが分かった。係数の値が小さければ関数はある1つの値に収束するが、少し大きければ2つ・3つの値をの間を周期的に行き来したり、もう少し大きくなれば規則性をもたずに様々な値をとるようになる。単純な関係式からここまで複雑なグラフができあがるとは思っておらず、とても驚いた。最後には係数の値ごとに収束する点や、周期的に振動する点をとって関係を見たが、何かの図形のようなものがあらわれ、係数が大きくなればなるほど関係式の表すグラフが複雑になるということがぼんやりと分かっただけで、これが何を意味するのかは分からなかった。

2016年12月3日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究8号館319号室

  • 当日の講師

    原田 健自 助教(情報学研究科複雑系科学専攻)

  • チューター

    佐藤 龍己、窪田 拓人、伊井 海生

  • 実習の内容

    (1)コンピュータシミュレーションの概説(モデル、手法、環境)を行った。
    (2)熱方程式の初期値境界値問題とその差分化した方程式に関して、再度説明し、復習を行った。
    (3)Octave言語に関して、コーディングに必要な特徴について、説明を行った。
    (4)熱伝搬に関するコンピュータシミュレーション課題を設定し、Octave言語によるプログラミング実装と、それを用いた数値実験に取り組んでもらった。
    (5)安定性と関連させ、数値実験の結果を解釈してもらい、フォン・ノイマンの安定性解析の結果を説明した。

  • 数理工学_実習風景熱方程式とその差分化に関する解説

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 熱方程式を時間や空間方向の間隔を設定することで離散化し、初期条件と境界条件を与えて解くことを学んだ. 方程式の定数や時間間隔、空間方向の間隔などの値の決め方によっては解が安定性を示さなくなることもわかった.
  • 偏微分方程式を差分方程式に置き換えてプログラムを組むこと。条件が増えた際にif文を2つ使ってコンピュータに計算させること。差分の幅を細くすると正確な計算ができること。

2016年11月19日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究8号館319号室

  • 当日の講師

    西村 直志 教授(複雑系科学専攻計算力学分野)
    吉川 仁 准教授(複雑系科学専攻計算力学分野)

  • チューター

    柳沢 かおり、窪田 拓人、伊井 海生

  • 実習の内容

    ・サーモカメラを用いて銅板の熱伝導の様子を計測する実験を行った。
    ・多変数関数について説明し、微分、偏微分の概念を説明した。
    ・微分方程式について説明し、簡単な例題としてニュートン力学(運動方程式)について話した。
    ・微分方程式の初期値問題について説明した。
    ・微分方程式の初期値問題の差分解法について説明した。
    ・簡単な微分方程式の初期値問題(重力下での自由落下)を差分法を用いて解くプログラミングコードをoctaveで作成させる演習を行った。
    ・熱伝導方程式を差分方程式から導出した。また、偏微分方程式の初期値境界値問題について説明した。

  • 数理工学_実習風景講義風景

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • プログラムを活用するための知識を今回学びました。とはいえ、物理の分野の話がとても多く、自分は生物選択なので理解が難しいことがたくさんありましたが、新しいことを学べたという点においてはとても勉強になりました。
  • 今回の実習で熱伝導の基礎、またその計算に必要なツールが導入されたことにより、基盤コース後期前半の最終課題が明確になった。熱伝導を計算で扱うには、時間と位置の2つの変数を扱わねばならず、それらの変数で温度を表す2変数関数となる。1つの変数で表す関数しか扱ったことのない僕にとって、それはとても新鮮で、第一印象としては”難しそう”であったが、一つ一つ計算を順に追うことで理解することができた。そのほか、方程式の中に微分の計算が含まれた微分方程式、微分を離散的な数で解く差分、2変数関数を片方の変数に注目して微分する偏微分をそれぞれ導入した。熱伝導を計算する際に問題になるのは、導かれた方程式が時間と位置の2変数関数が偏微分された形で含まれている”偏微分方程式”であるのと、それをプログラムで解くために差分で考えなければならないことである。今回導入されたツールが、次回、どう組み合わされて解かれていくのか、とてもわくわくしている。

2016年11月5日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 総合研究8号館319号室

  • 当日の講師

    西村 直志 教授(複雑系科学専攻計算力学分野)
    吉川 仁 准教授(複雑系科学専攻計算力学分野)

  • チューター

    柳沢 かおり、菅 大地、伊井 海生

  • 実習の内容

    ・数理工学とはなにか、京都大学工学部情報学科数理工学科の実例に沿って説明した。特に、数学、物理、OR、制御の各分野からなること、それぞれの分野の研究内容などを説明した。
    ・力学の問題を研究する方法として、理論力学、実験力学、計算力学があることを説明した。特に、計算力学について説明し、その具体例や取り組む課題について説明した。さらに、当研究室の研究事例について解説した。
    ・計算力学を含む科学技術計算を計算機を用いて行う場合、実数を扱うために浮動小数点数を用いることを説明し、不動小数点数の仕組みを解説した。
    ・浮動小数点数を用いて数値計算を行うとき、丸め誤差が発生することを説明した。
    ・丸め誤差のため、数値計算結果に思いもよらない大きな誤差が含まれてしまう事例があることを3項漸化式の例を用いて実験的に示し、どうしてそのようなことが起こるのかを説明した。数値実験にはoctaveを用いた。あわせて漸化式の数理について補足説明した。
    ・上の数値計算結果を改善する方法を考えさせ、こちらからひとつの解決策として、計算の向きを逆転する方法を示した。また、その効果をoctaveを用いた数値実験によって確かめた。
    ・丸め誤差の別の対策として、多倍長計算があることを説明し、代表的なライブラリとしてexflibを紹介した。前述の漸化式の例をとって、多倍長計算によって丸め誤差の悪影響を大幅に軽減することができることを数値計算によって示し、しかし限界があることも理解させた。
    ・macos, unix, octaveに慣れてもらうために、実際に各人計算機を用いて、この日学習したことを実際に再現してもらった。

  • 数理工学_実習風景講義風景

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 今回の講義の内容が、数理工学のイメージを大きく広げた。パソコンが、有効数字の桁数と、桁数が有限の2進数で計算していることによって近似をしなくてはならない場合が生じるのは、正確な値を出していると考えていたパソコンの計算に対して、意外な事実だった。また、その誤差が生じるのを抑える方法もあることは、より面白かった上、人間らしさを感じた。いわゆる「zenka」において、数列の一般項の係数決定の計算過程において、無限小数等が登場しないと、項がゼロに近づかない限り、パソコンの計算結果は正しいままなのではないかと思われた。 
  • 数理工学が、ドローンなどの機械のいろいろなところに使われていて、私たちの生活を見えないところから支えているということが、面白かった。また、数値計算をするときに、コンピューターが0と1の二進数を使っていることから生じる、丸め誤差の影響で、漸化式の計算をコンピューターに解かせたときに、丸め誤差の影響がだんだん生じてきて、最後には誤差にのっとられるということが興味深く、これを解消するための方法も、うまいやり方で、少し発想を変えるだけで誤差がなくなるというところに、面白みを感じた。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート