京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース後期]化学

2018年1月20日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館158室

  • 当日の講師

    金 賢得 助教(量子化学研究室)

  • チューター

    池田 龍志

  • 実習の内容

    ①化学の世界でどのように計算化学的手法が活躍しているかを紹介した。
    ②量子化学計算について、その原理やできること・わかることの簡単な導入説明を行った。
    ③実際に各生徒が、自分の好きな様々な分子で量子化学計算を行い、安定構造や電子の密度分布、HOMO/LUMOなどの電子構造の解析を行った。

  • 量子化学計算の原理説明
  • 実際に量子化学計算を行っている様子
  • 実際に量子化学計算を行っている様子

活動を通して学んだこと

  • 量子力学的であるということは、力学的であることの対義語であり、質量が小さいもの(電子や水素原子核)などは量子力学的である。これは、古典力学的な表し方が点であるのに対し、量子力学的な表し方では波となり、点の時と比べてエネルギーが大幅にへるので、安定度が増し、動きやすくなり、これは我々の生体内でも起こっている(水素のバケツリレーなど)。普通は原子核は古典力学的にとらえるが、水素原子核はあまりに小さいため、量子力学的にとらえると、より正確に取られられ、熱力学などまだあまりわかっていない分野へのフロンティア精神を煽るひとつの要因となれる。水素を圧力をあげて温度を下げると、理論的には軽くて丈夫な金属になると考えられていて、これは実現されていないが量子力学に捉えてガウス関数などを用いて理論科学を用いるとことで将来わかるかもしれない(予測は既に出来ている)。ここで述べたように、量子力学には様々な計算が必要で、特にガウス関数というものが大きな役割を果たす。そこでそれを計算して分子の構造を出してくれるアプリがあり、それをつかって始めにグルコースのモデルを作ることに成功した(炭素の基本構造を選択し、周りの水素元素に本来の元素をクリックして変更させる)。さらに、その後自分たちで新たな元素モデルを立体的にあらわし、価電子の数や振動数をかえて、実際に目で捉えて動きも見ることができた。
  • 今回は、量子力学数値実験をしました。身近にある水などの分子の持つエネルギーや振動をGaussionでシュミレーションして、分子の持つエネルギーが思っていたよりも小さかったり、思っていたよりもいろいろな向きに振動していたりして面白かったです。
  • 量子化学について学びました。一般的に使われるニュートン力学(古典力学)が通じない電子の世界で使われる量子という概念は理解するのがとても難しかったのですが、科学には未知の部分が多くあるという面白さを感じることが出来ました。前半の講義の中では、水素の特徴についてのお話がとても印象に残りました。最もシンプルな水素という分子は、固体水素や摩擦のない水素超流動、最軽量の金属として期待されている金属水素など、様々な可能性を秘めていると知りました。化学によって私達の生活に役立つ物質の性質を考えたり、作り出したりすることができるということを確認しました。後半の実習では、計算科学という分野に初めて触れ、その一部を体験させて頂くことができました。科学研究の世界は、実験や測定、理論や計算など、様々なジャンルの研究によって成り立っているということを学べました。ありがとうございました。
  • コンピュータを通すことで、普通の実験ではみられないようなミクロの世界の動きをシミュレーションできることを体験できた。水が凍る様も分子レベルでシミュレートしてみると分子間の水素結合が強固になり、それがどんどん広がっていくさまが見られた。さらに実際にプログラムを用いて分子の振動の様子をシミュレートして、原子間の腕が動いていることを知った。
  • 今回、理論化学を扱う研究室に初めて伺いました。量子化学研究室という、とても高性能なコンピュータを用いて数値実験を行なっている研究室で、グルコースなどの分子単位の動きやエネルギーの状態などの計算を、ノートパソコンを用いて体験しました。水が凍るという単純な現象でも、分子一つ一つがどう動いてるかをわたしは見たことがありませんでした。そのことに無自覚だったことに我ながら驚き、再現した映像を見て、水素結合によって徐々に結晶化が進んでいく過程がこんなに面白いことにも驚きました。この分子単位の動きを再現した映像を作るのには膨大な計算が必要です。特に電子や水素は、質量がとても小さいため、波としての性質を強く表すといいます。波としての性質を考慮せず、ニュートン力学的に、古典的描像や古典的核として扱うと、計算による理論と実験結果とに大きな差が出ることがあります。ですからこれを、より正確に量子的描像・量子的核として扱う必要があるのです。詳しい計算方法は、わたしにはまだ理解できませんでしたが、捉え方によって見えてくる性質が大きく変わるのは印象的でした。水素は上に述べたように量子的性質が強いため、不思議な性質を持つという話で、固体水素には何種類もあるという話がありました。その時は疑問に思わなかったのですが、改めて考えてみるとその違いは何なのか気になりました。
  • 水素の低温下における振る舞いとそのメカニズム。電子、陽子の量子的性質による様々な特異性。原子シミュレーションの仕組みと解析結果の意味。量子シミュレーションに用いられる式の説明と理由。
  • 今回は、理論化学・計算化学についての実習を行った。 講義では、主に(1)化学とは(2)研究手法について1(3)最新の研究(4)量子化学について という4つのテーマについてお話をしてくださった。 (1)化学とは では、化学の中の主な分野の研究者が何を目的として研究しているのか、と言ったことや、大学ではそれぞれの分野のボーダーが曖昧だということを教えてくださった。理論化学は、他の全ての化学の分野に繋がりうる分野なのだな、と感じた。 (2)研究手法について では、古くからある実験・理論の2つに加えて、ここ50年くらいで発展したという数値実験についても教えてくださった。数値実験は比較的安価であり、複雑な系も実験することができるということを知った。今回の研究室では、何人もの人がコンピューターを使って数値実験を行っているということで、研究室には部屋2つを埋め尽くすほどのコンピューターがあった。(3)最新の研究 では、金先生が水素のムービーを作るまでの過程を教えてくださった。水素は最もシンプルな分子性液体・固体であるが、核量子性(波としての性質)が強いため不思議な挙動をするという。通常は、粒子を波として扱うのは電子くらいで、原子や分子を波として扱うのはあまりないらしいが、金先生は最も小さい原子である水素も波としてシミュレーションし、ムービーを作成したそうだ。お話の中で、水素にはまだ発見されていない未知の熱力学状態が数多く存在するだろうということがわかっているということを知って、とても興味を持った。また、水素は燃やしても二酸化炭素がでない上に、宇宙約90%を占めているので枯渇することもなく、長距離の輸送が可能であるということで、新しいエネルギーとして注目されているということも教えてくださった。輸送の際、分子が小さいため漏れ出やすい水素を ある分子に閉じ込めてしまおう、という研究も進行中であるということも知った。(4)量子化学について では、比較的新しい量子化学の歴史や、量子力学の基本について学んだ。また、量子力学・量子化学の応用として、第一原理分子動力学・相対論的量子化学などがあるということも知った。ある方の《相対性理論を考えないと、金は銀色、水銀は固体になってしまう》という言葉がとても印象的だった。 講義の後は、実際にコンピューターを使ってシミュレーションを行った。Gaussianというソフトで分子を組み立ててシミュレーションしてみると、安定構造や電子の配置、振動の仕方がわかった。振動にも様々な種類の振動(変角振動、対称伸縮振動、逆対称伸縮振動 など)があるということも知ることができた。シミュレーションによって、電子のエネルギーが分かり、反応プロセスを可視化することができるということを知り、触媒の研究などにも使えそうだな、と思った。 今回の実習では、まだ発見されていないものや、進行中の研究について も教えていただくことができて、とても興味が湧き、もっといろんなことを学んで、自分もその研究に参加してみたいと思えた。

2018年1月6日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館369号室

  • 当日の講師

    松本 吉泰 教授(理学研究科 化学専攻 分子分光学分科)
    杉本 敏樹 助教(理学研究科 化学専攻 分子分光学分科)

  • チューター

    丸岡 充明、東 泰佑

  • 実習の内容

    二酸化チタンは光触媒や太陽電池の材料として良く知られる半導体です。紫外域の光を吸収することで、粒子の表面に吸着した分子の酸化反応や還元反応を引き起こすことが知られている。本実習では、P25と呼ばれる二酸化チタン微粒子に対して有機色素分子の分解反応を観測する。白金助触媒を担持には、ヘキサクロロ白金酸六水和物の光電着法を用いる。水溶液中にメチルオレンジ,メチレンブルー等の有機色素分子とP25を分散させ、紫外光照射による色素分子の退色反応(酸化・還元反応)を追跡する。反応の追跡には可視光領域の吸収スペクトル測定を用いる。
    実験を通して以下のような点について考える。
    ①それぞれの色素の溶液はどうしてこのような色になるのか。 ②二酸化チタンを水に分散させると白く濁るのはなぜか。 ③吸収スペクトルとはどのようなものか。 ④吸収スペクトルを測定する装置はどのような仕組みか。⑤二酸化チタンと色素分子の混合溶液に紫外光を照射するとどうなるか。⑥紫外光を当てた時の変化の仕方はすべての色素で同じか。

  • 光触媒の講義の様子
  • 色素・光触媒溶液を調整している様子
  • 化学_実習風景光触媒反応実験の様子

活動を通して学んだこと

  • 光とは電磁波である。光は波長と振幅できまり、波長が短いほどエネルギーが高く、虹でゆえば紫側で、長いほどエネルギーは小さく、赤側になる。
    見えている色は補色を吸収しているため、補色の波長が短い色は退色しにくい(オレンジなど)。白色に見える原理としては、全ての色を反射しているからである。(光の三原色は赤、青、緑で、これらを混ぜると白になることを応用して考えるとわかりやすい)また、黒はこの逆なのですべてを吸収していると言える。CDの裏にも分光の技術は使われているが、分光器の中で発せられる白色光を作り出すのにはかなりの技術が必要。化学の本質を知るには物理学とそれを支える数学が必要なので高校のうちに頑張っておくべき!!白色は紫外線も吸収するので、吸光率を見る時、300ナノメートルの部分に反応があってもこれが反応しているだけなので実験のミスという訳では無いと考察できる。半導体か絶縁体かは価電子がある所とないところの距離によって決まる。(遠すぎると絶縁体になり近すぎると可視光より低いエネルギーのものしか電子を運べないので無意味。また、電子の動きにより、電子を失った方は酸化力、受け取った方は還元力をもち、これらを互いが持つには空間的に異なる場所に存在する必要がある)。水素を燃やした時にでるエネルギーを電気に変えると、地球にも優しくとても良い。
  • 光触媒を使った色素の退色反応についての実験をしました。聞いたことのない実験でしたが、メンバーと協力して実験を成功させることができました。分光器を使って強度分布を測るといい結果が出たので良かったです。
  • 光を用いた化学反応である光触媒の仕組みや利用について、基本的なところから学習することが出来ました。前半の講義の中で印象に残ったことは2つあります。1つ目は、太陽光は1.2×10の5乗TWという非常に大きなエネルギーを持っている一方で、植物の力でもそのエネルギー変換効率は0.5%ととても低いということです。太陽の光エネルギーの効率的な利用方法がエネルギー問題解決に効果があるということや、実際に触媒が壁の汚れ除去などに応用されていることを知り、科学の可能性を実感しました。2つ目は、光触媒を用いた分解方法についてのお話です。光触媒の反応と聞いて、今まで学習した化学の知識とは全く違うものかと思っていましたが、反応そのものは電気分解とほぼ同じという点に驚き、科学の原理は色々な部分で繋がっているということを学びました。後半の実験では、光触媒を用いた退色反応を体感できました。実験の過程では、自分達のグループの実験を行うだけでなく、他のグループと結果を比較した上で自分と結果が異なった原因を考えたり、研究室の方々と色や光の性質について話したりすることで、科学的思考力を深めることが出来たと思います。今日の活動で、科学の知識や実験技術だけでなく、研究者として大切な考え方にも触れられたと感じました。ありがとうございました。
  • 触媒の種類には多くあるというのを改めて知った。光という身近なものも反応に利用することで様々な応用ができるとしり、興味深かった。光で触媒を利用すれば汚れも落ちるという実用的な面もあり、面白かった。
  • 理論とは異なる結果が出た時の原因の調べ方(理論が間違っている場合も含む実験結果の要素への分解の仕方と考察法)。光触媒反応の原子単位の仕組みと、メリット。予想を立ててから実験結果からその予想の合否を確かめる際の方法と着眼。
  • 2100年、地球の人口は100億人に達するという。それに伴い、消費エネルギー量は現在の3倍以上にもあたる43.0TWにのぼるといわれている。しかし火力発電や原子力発電によるエネルギー生成は限界がある。そこで注目されているのが、地球に膨大な量降り注ぐ、太陽光を利用した、水の光分解によるエネルギー生成だ。しかし水自体は透明で光を吸収しないので、半導体でできた光触媒というものを用いる。このような、光で起こす化学反応を研究されている、分子分光研究室という研究室に今回伺った。二酸化チタン(P25)光触媒による色素の退色反応を通し、光触媒のすごさを体感し、光や光触媒、分光器の仕組みや扱い方を学んだ。わたしは、絵を描くのが好きで、黄色の絵の具の表示に「退色しやすい」と表示されていたのを見て、黄色は退色しやすい色だと認識していたが、光触媒を加えて実験してみると、むしろ反対で青系が退色しやすかった特に印象的だった。光は波長が短いほどエネルギーを持っており、物体は見えている色の補色(混ぜ合わせると黒になる、色相環の反対に位置する色)を吸収する。黄色が吸収するのは、可視光の中ではよりエネルギーの大きい青色光である。だから色単体で光にさらされた時は比較的分解されやすいが、光触媒を混ぜた時は、光は黄色の色素分子にエネルギーを吸収されてしまって、光触媒があまりエネルギーをもらえないからだろうか。またしっかり考察したいと思う。

2017年12月16日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館

  • 当日の講師

    野田 泰斗 助教(理学研究科 化学専攻 分子構造化学研究室)

  • 実習の内容

    固体NMRの原理を簡単・最小限に説明し、構造解析の例としてL-alanineの炭素原子間距離を測定する実習を行った。実習ではなるべく生徒たちに体験してもらうことを重視し、超伝導磁石の強力さや、試料管回転、プローブのチューニングなど目・耳・触感に訴えるようにした。測定したデータを数値シミュレーションで解析するところまで行い、実験と数値シミュレーションから原子間距離が固体NMRから得られることを示した。

  • チューニングを合わせている様子。磁石の下の学生が作業し、周りは記録している。
  • 奥に表示されている試料回転数を圧力制御弁によりディスプレイに表示された値に調整している。

活動を通して学んだこと

  • 今回は、固体核磁気共鳴を使ってアラニンのMAS NMRスペクトルを測る実験を行いました。原子核の持つ磁石としての性質を利用してMRIなどにも使われていることに驚きました。徹底した時間的、空間的均一性のなかではこんなものをみるっことができるのだと感じ、楽しむことができました。
  • 今回の活動では、核スピンというほとんど聞いたことがない分野についての体験をさせて頂きました。最初は、核スピンは自分達の生活とはあまり関係がないと思っていましたが、MRIという意外な部分で繋がっていることを知り、その点が心に残りました。一見、馴染みがないと思われるような分野でも、身近な暮らしと思わぬ点で関連性があることを感じ、化学の発展と生活の便利さは密接に繋がっていると思いました。研究室の訪問では、実際に試料を回転させる装置に触れることが出来ました。回転数を変える時の機械の操作はかなり精密で、実験手順を慎重に行うことの大切さや、実験の複雑さについて学べました。データ解析の実習では、様々なソフトウェアを使って原子間の距離や相互作用の強さを知ることが出来ました。その実習の中では、科学技術の発展により、正確なデータを得ることが出来るようになったことを学べました。また、コンピューターや専用ソフトといった先端技術を使うことの大切さを知れました。これからの活動でも、難しい分野や身近ではない内容についての学習でも、積極的に取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。
  • ラジオ波パルスをあてて、チューニングする。フーリエ変換することでデータを数値化できる。プログラミングの基礎を理解出来た。
  • 今回は、分子構造化学研究室で実習を行いました。テーマは「核スピンで探る物質の構造」です。まず、核スピンのしくみ・利用・研究方法についての講義を受け、その後、「炭素間距離を実験と数値計算から求める」ことを目的として、実習を行いました。 核磁気共鳴分光法を用いて実験を行って、コンピューターでデータを分析することでL -alanineというアミノ酸の炭素間の距離を測定しました。核磁気共鳴分光法とは、磁場が非常に強く安定していて、時間的に均一な超伝導磁石と空間的に均一な電磁石(シムコイル)でつくられた磁場の中に、高速で回転する試料管を入れて、ラジオ波を当てることで共鳴させて核スピンを操り、発生した電流を測定することです。地下にある研究室で大きなシステム(NMRシステム)を使って行いました。手動で、プローブを回して共鳴するところを探したり送り込む空気を調節して試料管の回転速度を調節したりするのが楽しかったです。また、試料管を空気で回せるように、試料管の下に羽がついていたり、回転速度を測れるように、試料管の上の方に黒い部分と白い部分があったり、試料管ひとつにも様々な工夫が凝らされているということがわかりました。 また、自分はまだ 大学で学びたいことが決まっていないので、理学部はwhyを、工学部はhowを追究するという言葉がとても印象的で、「なぜこうなるのか」を追究したいか「どう使うか」を追究したいかという視点も持って将来について考えていこうと思いました。
  • 今回指導していただいたのは、分子構造化学研究室という研究室だった。核磁気共鳴の概要について説明を受けたあと、なんと地下にある実験室にお邪魔して実際に機械を操作してデータを取り、そのデータを計算処理して分子の形を捉えるということをした。「どうやって(how)」を追求する工学に対し、分子構造化学は「どうして(why)」を追求する理学に位置し、新現象の発見・物性発現機構の解明・測定や解析手法の発明を目指しているという。この研究室では、特に固体核磁気共鳴(NMR)の手法開発・物質への応用を研究していると教えていただいた。では、核磁気やその共鳴とはなんだろうか。原子の核には、磁石(=アップやダウンといった、核の量子力学的なスピン)が備わっていることがある。この確率は元素によって違い、水素だとおよそ99%にもなるという。この磁石のダンスを電気信号として捉えるのだ。スピンは、原子の周りに磁場を発生させることによって操ることができる。そこで、超電導磁石にラジオ波を流し込んでこの磁石を回転させ、その動きを捉え、さらに計算処理を行うことで、その分子の形状などを捉えることができる。これが固体磁気共鳴だ。実際に実験してみて、設備の大きさや、磁力の強さに驚いた。携帯を装置に近づけると電源が消えるのが面白かった。わたしが疑問に思ったのは、なぜ核が磁石な原子とそうでない原子があるのかということだ。以前の講義から、核にはアップとダウンという2種類の状態が存在していることを知った。2つの状態はセットになりたがるという。水素のほとんどは核が陽子1つである。その水素が99%磁石ということは、アップやダウンの個数の釣り合いが取れていない、やや不安定なものが磁石になるのだろうか。量子力学の世界はまだ難しく感じるが、少しずつ感覚をつかめていけたらいいと思う。
  • 核スピンで探る物質のミクロな構造」個体核磁気共鳴(NMR)の手法を開発し、研究している研究室で、炭素間距離を実験と数値計算から求める実験をしました。超電動磁石を用いたのですがスマホを近づけるとスリーブするほど強力で、ドライバーを近づけたりしてその磁力を体感しました。一部の原子核は小さな磁石となっており、試料をその超電動磁石でスピンさせてプローブをチューニングしていきました。ミクロの世界では少しのずれが大きなずれを生んでしまうことを実感しました。Magic Angel Spinning という操作をして磁力による相互作用をなくし、視覚的に周期を観察しやすくするソフトウェアで周波数を観察しました。COO―CHの周波数は9414Hz、炭素間の距離は約1.528(単位を忘れてしまいました)で、COO―CH3の周波数は5814Hz、炭素間の距離は2.511でした。プログラミングでそのソフトウェアのように周波数を観察したりもしました。
  • NMRとその仕組み。検出した実験結果の解析方法。実験において結果のデータが何によるものか、なぜそのような値をとるのか。

2017年12月2日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科2号館 517号室

  • 当日の講師

    朴 昭映(生物化学研究室)

  • チューター

    坂下 宗平、松井 はるか、平島 眞吾

  • 実習の内容

    「DNAとはなにかーDNAに関する基礎実験」
    DNAの物性確認と酵素反応(PCR法)によるDNAの合成を行い、生物工学技術の一端を体験した。
    実験手順
    1. 少量の鋳型DNA溶液とPCR試薬を混ぜ合わせ、DNA合成の反応液を調製した。
    2. 反応液を機械(サーマルサイクラー)にセットし、PCRを行なった。
    3. 酵素反応を待つ時間の間にDNAの性質を確認、理解した。
    4. DNAの物性実験で学んだDNAの性質を利用して、PCRが上手く進んだか確認した。

  • ピペットマンの使用方法を練習している様子
  • DNAの物性実験中の様子
  • DNAの物性実験中の様子

活動を通して学んだこと

  • 学校では使うことがめったにない実験器具や実験をすることができ、楽しく知識を学べました。
  • 実験活動の中では、化学と生物の間には繋がりがあるということを感じました。先生方の研究は、人工DNAの合成という生物分野に近いものですが、それはDNAと結びついて蛍光性を示す物質、DNAを複製させるための酵素などを合成するための化学によって支えられていると気付きました。そして、化学と生物は別々のものではなく、研究においては両方の技術が必要であるということを知りました。また、今回うかがった研究室には、留学生の方や海外の先生方もおられました。海外の方々と交流する中で、研究は日本人だけで行うものではなく、様々な国で協力して行っていくものであると実感し、どんな人々とも会話ができるコミュニケーション力の大切さを学びました。さらに、本日は研究室の学生の方々とも会話をさせて頂けました。実際に大学に通っておられる方から話を伺うことで、大学や研究室といった環境について、知識が広がったのではないかと思います。先生方へ質問した際には「研究のテーマを決める前に、論文などで既に行われている研究を調べることが重要」というお話が印象に残りました。学校の課題研究などでテーマを考える際には、事前調査を忘れないようにしたいです。今回の活動では、化学や生物のこと以外にも、学習や研究のために大切なことを知れたと思います。
  • 今回は、主に2つの実験を行った。1つめは、酵素反応によるDNA の合成である。PCR法という方法でDNAの合成を行った。動画などを用いて分かりやすく説明してくださったので、何が起きているかをよく理解することができ、そこで出た疑問を質問して解決することができてよかった。また、DNAが負に帯電していることを利用して合成されたDNAを確認するというのは面白いなと思った。 2つめは、DNAの物性確認である。DNAに紫外線を吸収する力があることを利用して、DNAの物性確認を行った。その後、研究室の方が開発した、塩基に蛍光性があるDNAを見せてもらった。蛍光性のある物質をDNAに結合させて可視化するだけでなく、DNAそのものに蛍光性をつけようという発想を実現しているのがすごいな、と感じた。 今回の実習を通して、科学は「生物」「化学」といったジャンルにとらわれず、様々な分野が融合されているものなんだなぁ、と改めて感じた。 また、0から1を作ろうとするのではなく、何があるものを発展させていく発想の大切さも学んだ。
  • 今回は、DNAを扱う少し生物寄りの特色を持った研究室にお邪魔した。まず、PCR法(ポリメサーセ連鎖反応法)という方法で、DNAを増やす実験を行った。この反応は熱を用いるが、タンパク質は普通熱に弱い。そのため今までは一周期ごとにタンパク質をいれなおさなくてはいけなかった。しかし、火口付近から熱に強いタンパク質が発見され、これを用いることでタンパク質が壊れることがなくなったため作業が飛躍的に楽になったときいた。すごい発見だと思う。火口の何からそんなタンパク質が見つかったのか、またなぜそのタンパク質は熱に強いのか、不思議に思った。できあがったDNAを電気泳動すると、もとより増えていることが確認できた。また、DNAにくっついて蛍光を発する物質も扱った。鮭のDNAは、そのものだと紫外線を吸収する。しかし特殊な物質を混ぜると、 それがDNAの糖の部分にくっついて、紫外線を受けたときに発光するようになる。もともとあった緑色に光るものに対し、このグループは新しく青に光るものを作ったと聞き、なぜわざわざ違うものを作る必要があるのか疑問に思い質問したところ、違う波長で光るので、別の用途で使えるそうだ。研究室も見学させていただき、見たものの中でわたしが特に驚いたのが、好きな配列のDNAを作れる機械だ。化学はここまで進んでいるのかと非常に衝撃を受けた。
  • 普段とは異なる手順で実験を行い、人によってその手順もよりけりだと学んだ。DAPIという物質はDNAに結合して、発光するという点においては人工核酸と同じ役割を果たすが、DAPIはDNA増幅を阻害しうるということから、実験条件によって使用する物質を選択することが重要だと学んだ。
  • DNAの増幅のプロセスにおける操作の詳細と目的。人口の塩基によるDNAの標識の仕組みや、それがどのように利用されているのか。機器を用いたDNAの合成の仕組み。DNAの構造と性質の関係。

2017年11月18日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館 北棟

  • 当日の講師

    八田 振一郎 助教(理学研究科 化学専攻 表面化学研究室)

  • チューター

    寺川 成海、綾 遥奈

  • 実習の内容

    1.Si(111)単結晶板のへき開実験 2.レーザーポンターと微小孔付きガラス版を使った2次元回折の観察と解析 3.超高真空容器中で清浄化したSi(111)表面およびインジウム単原子層からの低速電子回法の観察、 の3点を実施した。これらを通して結晶の構造及びその解析法についての理解を深めた。

  • Siのへき開のようす
  • 光の回折の観察
  • 講義の様子

活動を通して学んだこと

  • 面心立方格子の力を入れる角度などを調整することで、割りにくいものを割りやすくできることや、とても滑らかに見える金属の表面でも、凹凸がたくさんあることを学びました。
  • 今回の講義の中では、「表面化学」という新しい分野の化学について学ぶことができました。表面化学という分野は自分にはあまり馴染みがありませんでしたが、触媒反応やナノテクノロジーとして利用されているということを学習し、化学の奥深さや幅広さを感じることができたと思います。
    また、回折によって二点間の距離や表面構造を考えられるということにとても興味を持ちました。その際に、レーザーポインターや電子回折などの実習や見学によって体験させて頂いたことで、より理解が深まりました。研究室の見学では、前回訪問させて頂いた研究室とは設備も雰囲気もかなり異なっているという印象を持ちました。大学の研究室は分野によって様々であるという事を理解しました。今回の活動でも、自分の科学的視野を広げることができました。ありがとうございました。
  • 回折角を求めるにはぼくたちのしっている三角関数の知識を使えば良い。窒素の実現化には、第一次世界大戦後の食糧難が大きく関わったということ。温度を変えると構造が変わり、見た目も大いに異なる。表面にしか作られない物質がある。単体の金属は規則正しくぶんしが並んでいれば特定の方向にとても綺麗に切れること。
  • 今回は表面化学研究室で実習を行った。講義では主に、表面化学(表面科学)の歴史・物質の表面を調べる方法(走査トンネル顕微法、電子回折装置)・ダイヤモンド構造と劈開 について学んだ。講義のあと、3つの実習を行った。 1つめの実習は「単結晶Siの劈開」だった。先端に小さなダイヤモンドがついたペンのようなものでSiの単結晶を切ることで、割れやすい方向と割りにくい方向があることを知り、その原因はSiの構造(ダイヤモンド構造)にあるということを学んだ。 2つめの実習は「レーザーを使った回折実習」だった。細かい穴の空いたガラスと、緑と赤のレーザーポインターを使って回折の原理を学んだ。 3つめの実習は「Si(111)の再構成表面を電子回折で観察」だった。超高真空装置を使って、まずはSiを1000℃近くまで加熱し回折パターンを観測した。その後、インジウムを蒸着し再び回折パターンを観測した。物質の表面の性質が変化しているのが観察できた。今回の実習全体を通して、物質の表面を回折を用いて観察したり、表面化学研究室でありながら物理学会に行ったりと、私たちが今、学校で習っている「化学」「物理」といったものは、「科学」の中で複雑にからみあっているんだなと感じた。
  • 表面化学(科学)という分野を研究されている研究室にお邪魔した。物質の表面を舞台として化学反応を起こしたり、表面に付着した分子の活動を観察したりする分野で、アンモニアの合成もこの分野の発見によって可能になった。その表面の構造の調べ方を教えていただき、波が出てくる二穴の間隔が広がると回析の次数も上がることなどを利用し、実際にすりガラスに開けられた穴の間隔を計算で導いた。また、電子回析装置も見せていただき、光源との距離を変えると見える模様が変わったり、吸着子で表面をきれいにするとまた見え方が変わることなどを勉強した。他にも、Siをはじめとした半導体がもつダイヤモンド構造という結晶構造や、表面の様子を教えていただき、実際に劈開を利用してSiで六角形などを作った。
  • 「シリコンの結晶構造と劈開面、表面超構造」表面化学のことについて学びました。なじみのない言葉だと思いましたが微小な物質を生み出す場としての研究であるナノテクノロジーも一種の表面化学であり、化学だけでなく物理学とも深い関わりがある重要な分野であることを知りました。初めに結晶の原子構造について学びました。共有結合の原子間の結合は強力であり、その例としてシリコンやダイヤモンドがあります。しかし共有結合にも結合が切れやすい部分があり、その方向を狙うことで弱い力でも簡単に割ることができる劈開という現象があります。それをシリコンを使った実験で体験しました。30°、45°、60°、90°のいづれかの角度で切断すると簡単に割れることが分かりました。切断するのに使ったのはシリコンよりも硬いダイヤモンドでした。正三角形や正方形、正六角形などを作ったりしました。みんな集中しすぎて時間もあっという間にたっていました。
  • 学会での発表の際は自分に自信をもってしっかりと応答すること。そして、わからないことははっきりわからないと言ってしまうということ。
    化学といえども物理とも密接に関わっているので、何事にも幅広い分野の知識が必要となってくること。
  • 金属等の表面の構造と作用の相互関係。物体の表面構造がどのような回折現象を示すのかとその理由(輝点の個数と構造の関係、明暗の仕組みなど)。表面構造の分析の方法と仕組み(電子線の採用理由、減圧についてなど)。なぜ表面の構造が変わるのかや、原子の安定性が構造にどのように影響を与えているのか。

2017年11月4日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館 663号室

  • 当日の講師

    野木 馨介 助教(有機化学研究室)

  • チューター

    福田 淳一、堀 充希、南 裕子

  • 実習の内容

    パラジウム触媒を使用した2種類のクロスカップリング反応により、蛍光性のポリマーを合成した。
    合成した2種類のポリマーについて、ろ過による分離や分液操作を行うことで、有機物の分離法について学習した。また、得られたポリマーの蛍光発光を見ることで、重合が進行していることを確認した。重合の進行については、質量分析法を用いて得られたポリマーの分子量を確認するという実験も行った。

  • 化学_実習風景合成したポリマーの蛍光発光の確認(1)
  • 化学_実習風景合成したポリマーの蛍光発光の確認(2)

活動を通して学んだこと

  • これまで名前や画像しか知らなかった実験器具や実験などができ、物質の組成を変えることで様々な特性を表せることを学びました。
  • 今回の活動で学んだことは3つあります。 1つ目は、有機化学についてです。今までは、クロスカップリングや有機化学という言葉はSSHの活動で少し聴いたことがある程度で、詳しいことは何も知りませんでした。今回の講演を通して、クロスカップリングは触媒を用いてベンゼン環を繋げるものであるということや、有機化学は炭素を用いた化学で、身近なものに応用されているということを知りました。 2つ目は、実験操作についてです。クロスカップリング反応の実験の中で、パラジウムの触媒を使った反応の観察をしたり、分液、質量分析などの操作を体験したりすることができました。最先端の研究で使われる試薬や機械に実際に触れることで、研究に必要な精密さや正確さを味わうことができたと思います。 3つ目は、研究室についてです。研究室の中を見学したり、研究についての紹介を受けたりすることで、大学の研究室とはどのようなものか、ということを少しだけ知ることができました。ありがとうございました。
  • クロスカップリング反応によって蛍光の原料でないものを傾向性にすること。 単なるクロスカップリングではなく、京大では硫黄を使ったクロスカップリングの研究などをしていて全国トップクラスである。分液やろ過といった、有機化学で基本となる操作の方法を学んだ。有機化学において、少ない割合でしか存在しない炭素がとても重要な存在であり、結合によって作りたいものを作ることが根幹であるということ。 
  • クロスカップリング➡️ 異なる構造をもつ二つの分子を結合させて一つの分子にする化学反応のこと。
    クロスカップリングでしか作れないもの➡️農薬、液晶など
    実験①炭素ー水素結合直接カップリングでポリチオフェンを作る
    ○一般的なカップリングとの違いは何か
    ▶️ハロゲンではなく水素の部分でくっつける(たくさん存在するものを用いることでコストをおさえ、環境への影響を少なくすることができる)
    ○ポリチオフェンの用途▶️ダイオード、電池、センサーなど
    実験②溝呂木・ヘック反応でポリマーを作る
    ○一般的なカップリングとの違いは何か
    ▶️ひとつの分子だけでどんどんくっついていける
    ①②共通の課題
    ○なぜ重合すると光に関する性質が変わるのか
    ▶️励起状態から基底状態になるときに出す光の波長が変わる
  • 精密に有機化合物を作ることの大切さや、その難しさを学んだ。ベンゼン環同士をくっつけることは難しく、そのためにクロスカップリング反応というものが用いられていることを初めて知り、わたしは実際にヘック反応を利用し蛍光でない物質から蛍光性の高分子を作った。秤の使い方から窒素置換、紫外線ランプ、桐山ロートなど、触れたことのなかった様々な実験器具の存在を知ると同時に、安全で正しい使い方を知ることができたのがとても嬉しかった。
  • 「炭素ー水素結合直接カップリングでポリチオフェンを作る」実験(①)と「溝呂木・ヘック反応でポリマーを作る」実験(②)をした。①と②の共通点として一般的なカップリングとの違いは媒介を介して化合物がつながって重合ができるのではなく直接炭素と水素を結合する点である。①の実験では重合が多くて6個まで進行したものができた。いわゆるポリチオフェンである。溶液状態のポリチオフェンにUVを当てると青色に発光した。ポリチオフェンの用途としてはインターネットで調べたところ、LEDや太陽電池に使われているようだ。②の実験では固体が生成され、UVを当てると黄色に発光した。固体が生成したのは分子量が増加したからである。重合すると光に関する性質が変わるのは物性が変わってポリマー化することによって紫外線でも光るようになる、つまり、二重結合が飛び飛びにあるため共鳴が起こりやすくなるからだと推測している。
  • 光らなず、さらに反応しにくい物質が、金属触媒を介した反応を行うと光る物質を作り出すということから触媒の反応における重要性、偉大さを感じた。また、そのできた物質中に含まれる分子を質量によって調べる質量分析法はその便利性から現代技術のすごさを感じた。
  • マイクロシリンジなどの実験器具の使用方法と各操作における注意点。各操作における精密性向上のための工夫。生成物の解析方法とデータのずれの原因。メンバーとの情報交換における質問の重要性。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート