京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース後期]材料化学

2018年2月3日

  • 実施場所

    桂キャンパス A3棟1階ラウンジ

  • 当日の講師

    瀧川 敏算 教授(高分子機能物性分野)
    堀中 順一 准教授(高分子機能物性分野)

  • チューター

    本多 信太郎、山本 寛治、矢尾 晃一

  • 実習の内容

    2つのグループに分かれて、各グループで2月18日の発表用のパワーポイントファイルの作成を行った。

  • 相談しながらファイルを作製
  • 作成したファイルを確認

活動を通して学んだこと

  • 発表会に向けてのパワーポイントを作った。私はちょうど今学校で研究発表の準備をしている。そのこともあって、今日も自分の役割をしっかり果たせるだろうと思ったが、今日の活動では、正しいプレゼン準備の仕方を学んだ。 まず、発表時間からスライドを何枚くらい使うか決め、一番伝えたいことは何かを考えて、どの部分に何枚のスライドを使うかを決める。始めに各スライドに何を書くかを一言入れておくと、無駄にスプライトが増えない。また、時間が無くなったときはどのスライドを捨てるかを決めたり、質問対応用のスライドを作ったりするとよい。細かいことだが、色を厳密に選ぶとき、パソコンの画面とスクリーンでは若干違って見えることもあるので、スクリーンで見て選ぶとよい。 以上のようなポイントを学んだ。一般的なことかもしれないが、私にとっては新しいことで、とても今後の参考になった。そして、エルキャス受講生のレベルの高さを実感した。
  • 成果発表会の準備でグループで改めて習った内容について振り返ってみたが、習った時に質問をしていれば良かったことがいくつかあった。具体的には、一枚レジュメに写真とグラフが並んであったのでそれを対応させて説明しようとしたが、実はその二つは条件が違い、対応させることができないと話し合いの最中に気付いたことなどだ。自分が発表する内容を理解していないと他人に分かりやすく説明できるはずがない。グループで話し合い考えたことで自分の中で内容を整理でき、自分だけで振り返った時には理解が曖昧だった所が分かるようになった。これまで習ったことはどれもかなり高度な内容だったが、だからといって何も理解できないというのではなく、何か少しでも自分の知識として持っておこうとする姿勢が大切だと思った。今回でどのような流れでどこまで詳しく伝えれば相手に理解してもらえるのかを考えるのはとても難しいことだと学んだ。
  • PowerPointを扱って習った内容を纏める時間でした。PowerPointは学校などで何度も使っており、操作には慣れていたので作業はスムーズに進みました。今までの内容はある程度まとめてあり、自分なりに理解していたので、構成を考えつつスライドをつくることができたと思います。本番は口頭発表で、自分にとっては未経験のことになりますが、精一杯頑張りたいと思います。
  • スライド発表の準備の手順を学んだ。初めに発表時間をもとにスライドの数のめどをつけ、次にそれらのスライドで何を伝えるのか、どんな図や写真、グラフを載せるのかといった細部を詰めていくというように、全体→部分の流れで発表スライドを作成した。さらに、効果的に色や図形を用いることで見やすく、分かりやすいスライドができるということを学んだ。
  • 成果発表会で発表するにあたって、まだまだ発表テーマに関する知識が欠如していると感じた。当日に想定される質問も考慮すると、必要以上の知識が必要になることは考えられるし、多くの知識を補充しておかないと本番余裕を持てなくなってくると思う。聞き手に自分たちの発表をしっかりと聞いてもらうには、ある程度の気持ちの余裕を持っておくと良いことを高校で経験したので活かしていきたい。もちろん最終的には自分たちの思い、気持ちを込めることが大切になる。この二週間でどれだけ準備出来るかが大切になると学んだ。

2018年1月20日

  • 実施場所

    桂キャンパスAクラスター417号室

  • 当日の講師

    中尾 佳亮 教授(工学研究科 材料化学専攻 中尾研究室)
    仙波 一彦 助教(工学研究科 材料化学専攻 中尾研究室)

  • チューター

    飯塚 航平、上村 奈央、柏原 美勇斗

  • 実習の内容

    鈴木ー宮浦クロスカップリング反応により、蛍光分子を合成した。また、合成した蛍光分子を用いてソルバトクロミズムという現象を観察した。

  • 試薬秤量時の風景
  • 蛍光の観察1
  • 蛍光の観察2

活動を通して学んだこと

  • クロスカップリング反応とは異なる分子を結合させて高機能な有機化合物を作成する技術で、医薬品や農薬、有機ELなど、私たちの実生活にも利用されている。今回は、パラジウム触媒を用いた鈴木―宮浦カップリングによって蛍光分子を合成する実験を行った。 ・ソルバトクロミズムとは、溶媒の極性によってその化学物質の色が変化する現象である。今回の実験で溶媒として用いたアセトン(以下a)、ヘキサン(以下h / aにh を加えたもの)、トルエン(以下t)は極性においてa>h>t であり、発するエネルギーはa(黄)<h(青緑)<t(青)の順であった。極性が大きいaにhを加えることで溶液が不安定化し、励起状態時に持つエネルギーが増大したことが原因である。tについては、溶液の安定化を受けないことが最も大きなエネルギーを持っていた原因であった。 ・実験後、NMR法によって目的物質の収率を測定したところ、9%と低い値にとどまってしまった。この理由として、反応時間が短いことや反応時の温度が低いことが挙げられる。
  • 二つの実験で、鈴木-宮浦クロスカップリング反応で蛍光分子を合成した。一つ目の実験では、一つ目の実験では、N,N-ジメチル[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェニル]アミンに、2-アセチル-5-ブロモチオフェンのアセトン溶液と炭酸ナトリウム水溶液を加えて撹拌した。ここで、紫色LEDを当てたが、触媒を入れていないため試料は光らなかった。次に、触媒として酢酸パラジウムのアセトン溶液を2滴加え、40度で30分間撹拌した。そして、紫色LEDを当てると黄色に光った。光を当てないときも、溶液は黄色だった。放冷後、試料にヘキサンを2mlずつ10ml加え、加えるごとに紫色LEDを当てた。アセトンの層とヘキサンの層は分離しており、アセトンの方が黄色に、ヘキサンの方は青緑色に光った。分離は、ヘキサンを2回目に加えたときから目視でも確認できた。二つ目の実験では、p-メトキシフェニルボロン酸に、実験1と同じ二つの溶液を入れ、撹拌した。ブラックライトを当て、触媒がないと反応せず光らないことを確認した後、実験1と同じ触媒を加えて撹拌した。目視では無色透明のままだったが、ブラックライトに当てると青緑色に光った。紫色LEDを当てても、ブラックライトほどではないが、光った。  溶媒の極性によって光る色が変わる現象をソルバトクロミズムという。ヘキサンはアセトンより極性が低く、励起状態になったときのエネルギーの変化が大きい。光では、赤、橙、黄、緑、青、紫の順に波長は短く、エネルギーがは高くなる。そのため、アセトンはヘキサンと比べてエネルギーの変化が小さく、黄色に光り、ヘキサンは青緑色に光った。 別の試料の結果からわかったことだが、今回の反応は9%しか進んでいなかった。それでも、かなり試料は光っていたので、驚きだった。
  • クロスカップリング反応とは従来のカップリング反応ではなかった、異なる分子を効率よく結合させる技術であり、これにより分子設計の自由度が増し、高機能な有機化合物(電子材料、医農薬など)の合成が可能になった。特に鈴木‐宮浦クロスカップリング反応は用いられる有機ホウ素化合物が空気や水分に安定なため、特殊な反応操作、装置を必要とせず、また穏やかな反応条件で、反応が高収率で進行するため1番使われるクロスカップリング反応の技術である。今までの実習でもあったように今回も光を使って反応を観察したが励起状態から基底状態へとエネルギーが下がるときに発光し、そのエネルギーの大きさによって光の色は異なるという原理は同じなのだと気付いた。反応溶液はよく光ったので目的の有機化合物の収率は高いのではないかと思ったが、測定してみると収率は僅か9%だった。その原因としては、攪拌を低い温度で行ったことなどが考えられる。しかし、自分たちでもできるほど容易にクロスカップリング反応を利用できるというのを実際に体験することで、鈴木博士と宮浦博士が生み出した技術の研究の重要さが分かった。今回の実習で有機化合物は自分たちの身の回りの多くに使われていて、その有機材料を合成する手段としてこのような反応技術があると知り、今までは高校で習っている有機化学を覚えることが多く大変な分野だと思っていたが、興味を持てるようになったので良かった。
  • 以前から、クロスカップリング反応についての話は聞いたことがありましたが、どのような見た目で、どの位難しいものなのかまでは知りませんでした。そのため、鈴木・宮浦クロスカップリング反応が空気中でも問題なく進むため最も簡単でよく使われている反応だということや、蛍光というわかりやすい方法で結果が確認できるということを知って少し意外に思いました。また、この反応が液晶ディスプレイや有機ELなどの身近なものにも当たり前のように応用されているということを初めて知り、意外に思いました。今回の実験では離れた場所からでも分かるほどの強い光を放つものだったため、とても強い反応が起こっているようにも見えましたが、いざ測定してみると実際の収率は9%ほどで、思っていたよりも低いことが分かりました。このことを通して、材料合成の興味深さと分析化学の重要さを知ることが出来ました。
  • 今回は金属触媒を用いた有機材料の合成を行いました。今までは無機よりの実習だったので新鮮に感じました。実験は、ノーベル賞を受賞した、あの鈴木宮浦クロスカップリング反応を用いて蛍光分子の合成を行いました。クロスカップリング反応は異なる分子を収率よく結合させる技術ですが、今回の実験で異なる分子同士の合成の難しさを知りました。実際に非蛍光分子2つを触媒の酢酸パラジウムで蛍光分子に合成し、その蛍光の様子の観察、収率の測定などを行いました。観察した時は紫色LED・ブラックライトの元で激しく蛍光しているのが分かりましたが、収率を測ってみるとなんとたったの9%で、驚きました。今回は時間が短く、反応温度もあまり高くなかったのが原因とみられました。鈴木宮浦クロスカップリング反応は現在もっとも工業的に使われている反応だそうで、液晶や有機EL、医薬品など生活に直に関わってくる分野であると学びました。
  • クロスカップリングとは異なる構造をもつ二つの分子を結合させて、一つの分子にする化学反応のことである。特に結合させるのが難しい、有機化合物を構成するベンゼン環などの炭素どうしを結びつけることができる。このクロスカップリングを確立したことで2010年に日本人の鈴木章先生と根岸栄一先生がノーベル化学賞を受賞した。クロスカップリングによって特別な環境を用意することなく、従来に比べて毒性の化合物を使わずにすみ、安全に、医薬品や機能性材料を作れるようになった。 実験内容は実験タイトルの通り二つの炭素の環を結合して蛍光分子を生成することである。一方の有機化合物のアセトン溶液をもう一方の有機化合物に加え、パラジウム触媒(今回は酢酸パラジウムを使用)を加えて、40度で30分間攪拌させた。加熱攪拌後、紫色LEDを溶液に当てると黄色の蛍光を発した。つまり、蛍光分子を生成することができたのである。またこの溶液にヘキサンを加えて、紫色LEDを当てたところ、緑色の蛍光を発した。ここで溶液をよく観察してみるとあることに気づいた。緑色の蛍光を発しているのは溶液の上部のみであり、さらによく見てみると、溶液が二つの層に分かれていた。これは物質の極性が関係している。アセトン溶液は極性溶媒であり、ヘキサンは無極性溶媒であるからこの二種類の溶媒は混じり合わないため、二層に分かれていたのである。ヘキサンの方がアセトン溶液よりも密度が低いためら上層を占める。また、クロスカップリング反応で生成した有機化合物は無極性分子であるからヘキサンの方に溶けたため、緑色の蛍光は溶液の上側のみ発した。  カップリングという言葉は高校の化学でジアゾカップリングを学習した時に知ったが、二種類のベンゼン環が結合する仕組み及びパラジウム触媒の働きについては詳しく理解していなかったため、今回それらについて学べたのは良かった。今までも書いてきたと思うが、やはり高校での学習は大学や社会に出てからも応用されていくため、今している学習を丁寧に進めて基盤を固めていきたい。
  • これまでとは違い、有機化学についての実習を行いました。そこで、鈴木・宮浦カップリングが、いかに優秀であるかを実験を通して実感しました。まず、再現性が非常に高いことが挙げられます。多少の試薬の量の違いでは反応の進行になんら問題がないことがわかりました。次に反応速度の速さです。今回の実験では、わずか30分の反応時間で明らかに反応が進んでいました。このような、クロスカップリングの有用性と、またそれが身の回りの多くのものに応用されているという汎用性を学びました。
  • 今回はELCASでの最後の講義であり、かつ成果発表会での私たちの発表テーマでもある講義であったため、いつも以上にに気合いを入れて(もちろん今まで気合いがなかったわけではないが)取り組むことができた。今回はクロスカップリング反応という炭素の環どうしをつなげる反応を用いて実験を行ったのだが、実験の途中に白色沈殿が生じる仕組みやブラックライトを当てた時に蛍光を発するメカニズムについて尋ねられた時に自分の考察を述べたり、また工学部と理学部でできることの違いをチューターさんに質問できて、有意義な時間を過ごせた。
  • 2/3の発表に向けて集中して講義を受け、多くの新しい知見を得ることができた。事前に実習内容の予習ができた。

2018年1月6日

  • 実施場所

    桂キャンパス Aクラスター A2棟302講義室/A3棟223号室

  • 当日の講師

    大塚 浩二 教授(工学研究科 材料化学専攻 材料解析化学研究室)
    久保 拓也 准教授(工学研究科 材料化学専攻 材料解析化学研究室)
    内藤 豊裕 助教 (工学研究科 材料化学専攻 材料解析化学研究室)

  • チューター

    井上 弘貴、岩場 剛志、金尾 英佑

  • ボランティア

    逢坂 陽子

  • 実習の内容

    高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いて、コーヒー、紅茶等の市販飲料中に含まれるカフェインの定量を行った。
    実習に先立って、HPLC及び関連事項についての概要説明を講義形式で行った。
    次いで実習に移り、はじめに標準試料を調製して検量線を作成した後、市販飲料をHPLC分析可能な状態に前処理して分析を行い、得られたクロマトグラムから検量線法により含まれるカフェイン量を定量した。

  • HPLCの原理及び実習概要に関する講義
  • 試料注入(試料溶液をマイクロシリンジによってHPLCシステムに導入する)
  • データ解析(検量線を用いてピーク面積からカフェイン含有量を計算する)

活動を通して学んだこと

  • HPLCは、筒状の容器に固定相と呼ばれる固体を充填し、その中に移動相と呼ばれる液体を流し、試料注入するという仕組みだ。高圧のポンプを用いて高速で液体を流すことができ、移動相が液体であるため、この機械は高速液体クロマトグラフィーと呼ばれる。しかし、今では一般的であるため、LCや液クロと呼ばれる。試料中の成分ごとに、筒状の容器を移動する速度が違うため、分離が起こる。移動が速い成分は測定開始からすぐの時間に検出される。カフェインは3分後に検出される。結果のグラフの、ピークが検出される時間からは試料の種類が、ピークの面積からは試料の濃度がわかる。濃度がわかっている試薬を用いて求めた、横軸カフェイン濃度、縦軸ピーク濃度の検量線 (y=6×10^7) を使うことで濃度がわかる。今日の試料は、午後の紅茶、伊右衛門、濃いめの伊右衛門、濃いめのカルピス、レッドブル、コーヒー (BOSS) だった。カルピスは遠心分離し、レッドブルは超音波で脱気後、100倍に希釈、ろ過してHPLCに注入した。カフェインの量は、コーヒーが58mg/100mlで飛び抜けて一番多く、レッドブル、濃い伊右衛門、午後の紅茶、伊右衛門の順に多く、カルピスは0だった。コーヒーが予想通り一番多く、普通の伊右衛門より濃い伊右衛門が多いという予想も正しかった。しかし、製品情報によると、普通の伊右衛門、濃い伊右衛門はそれぞれ10mg/100ml、20mg/100mlということだったが、得られた値は11.6mg/100ml、14.6mg/100mlだったため、疑問が残ってしまった。HPLCは医薬品、食品などの分離分析や、病院での診断、科学捜査研究所など、広く用いられている機械である。今後、私も使うことがあると思うので、今回の疑問はこれから解決したいと思う。
  • 高速液体クロマトグラフィーを使って試料を分離するところは見たことはもちろん想像したことも無かったので興味深かったです。試料には、緑茶やエナジードリンク、ブラックコーヒーなどを使いました。遠心分離や超音波での脱気を行ったあと水とメタノールで希釈し、HPLCのインジェクターに注入・測定を行いました。HPLCの中には、カラムとよばれる容器に固定相が予め充填してあって、その中に注入した混合試料と移動相が流れると、その試料の成分によって(移動相と固定相との親和性が異なるため)分離が起きるのだと学びました。クロマトグラフィーの仕組みを今までより深く理解出来たように思います。実験は上手くいって、企業が出している製品情報のカフェイン量と測定したカフェイン量は大体が近い数字となりました。普段よく目にする調味料や飲料、薬品の成分表示などにかかれている数字は、メーカーがHPLCを使って分離分析したものだと分かりました。
  • クロマトグラフィーと言うと、教科書に載っていたような濾紙にインクを付けて水を吸わせる簡易的なものをイメージしましたが、HPLCは機械を使ってデータを取るものだったのが少し意外でした。コーヒーや緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインの量を測定した時に、かなり成分表示に近い値を記録できました。固体中に液体を通すという方法で成分が分析できるというのは非常に興味深いことだったと思います。この方法は様々な場面で使われているという事でしたが、一歩深い研究の領域に踏み込んでみると失敗の連続だそうです。研究の難しさとして、答えのない問題に挑まなければならないということがやはりあるのだな、と思いました。
  • クロマトグラフィーは学校で試料の分離精製法の一つとして習ったが、分離の詳しい仕組みはよく分からなかった。しかし、何度も丁寧に説明をしてくださったのでとても分かりやすかった。試料の混合物を通させる筒状の容器(カラム)には固定相と呼ばれる固体と移動相と呼ばれる液体が流れている。そして、そこに試料の混合物を入れると試料によって固定相・移動相との親和性が異なり(商店街に例えると、寄り道をしたり、しなかったりする人がいるということ)移動速度が異なるため分離が起こる。実際に飲料水ごとにカフェインの分析をした時、溶液を希釈するところから始めた。学校で習ったのは、ホールピペットとメスフラスコを使うということだけだったので具体的な方法は何も知らなかった。ここで実際に体験することの大切さを学んだ。学校では実験はほとんど無く、ただひたすら用語を覚え、計算できるようになるということをしているがそれでは本当の理解には繋がらないと思った。測定ではHPLCに溶液を入れるだけでカフェインの濃度やピーク面積が分かりHPLCの便利さを実感できた。この分野で使われている単位はとても小さく目で見て分かるようなものではないので、単位に注意して計算しないと正しい値が得られない。このような高度な技術は大学の研究室でしか使われないと思っていたが、食品会社や警察の科学捜査研究所、病院における診断など様々な所で使われていると知り、自分たちは日常生活においても知らず知らずのうちにこのような高度な技術に頼っているところがあるのではないかと思った。
  • HPLCとは、試料の中に含まれる成分を分離・精製する手法の一つである。分離の仕組みとしては、筒状の容器(カラム)に固定相と呼ばれる固体を満たし、この中に移動相と呼ばれる液体を流すと、試料中の成分によって固定相に引き寄せられるなどしてカラム内の移動速度が異なるために成分が分離されるというものだ。一方通行の商店街をイメージするとわかりやすいかもしれない。従来の液体クロマトグラフィーは測定に数時間もかかっていたが、高圧のポンプを用いて高速で液体を流すという高速液体クロマトグラフィーが開発されて、測定時間が数十分に短縮された。 実験内容は市販の飲料水のカフェインの分析である。今回はコーヒー、エナジードリンク、お茶、濃いお茶、紅茶、カルピスを試料として用いた。試料の濃度が濃すぎたり、炭酸や乳成分が含まれているとHPLCの検出器が壊れてしまうため、濃度を薄くする操作も行った。測定結果からカフェイン濃度を求める際に、検量線というものを用いた。検量線は濃度のわかっている標準時役を用いて、試料濃度とピーク面積の関係をプロットしたものである。つまり、濃度のわからない試薬もピーク面積を検量線と比較すれば濃度を求めることができるのである。ピーク面積とは、簡単に言えばHPLCの検出結果がグラフとなって表されるのだが、そのグラフの内カフェインが出てきたときのグラフの高さのことである。結果はコーヒーが最もカフェイン濃度が濃く、カルピスが最も薄いという結果になった。 化学基礎の内容として、物質や成分の分離方法について学習し、その中にカラムクロマトグラフィーとペーパークロマトグラフィーがあることを知ったのだが、その仕組みを簡単にしか知らなかったし、大学や他の研究機関では主流であるHPLCの存在も知らなかった。理科の高校の学習内容と大学や社会の現状とはやはりギャップがあることを感じたし、もっと将来的な視点も備え付けた学習を普段から心がける必要があると思った。このELCASで学んだことはほとんど知らないことや新しいことが多いが決して高校の学習内容とは全く異なるというわけではなく、むしろ高校の学習内容が一般教養的な礎となっているため、よりいっそうこれまでELCASで学んだことをどのくらい高校の学習内容とリンクしているのか詳しく見ていこうと思う。 また、実験をしてみて、つまり頭だけではなく実際に自らの手を動かしてみてわかったことは実験道具を上手く扱えるかどうかが非常に大切であるということだ。今回の実験ではホールピペットとメスフラスコ、それに遠心分離機なども扱った。前回の講義ではマイクロピペットや電子炉を扱った。これら実験器具は実験を行なう上で必要不可欠であり、研究内容によっては、卓越した実験器具を扱う腕が求められることもある。実験器具の扱い方も丁寧に学んでいきたい。

2017年12月16日

  • 実施場所

    桂キャンパス A3-021

  • 当日の講師

    藤田 晃司 准教授(工学研究科 材料化学専攻 応用固体化学研究室)
    村井 俊介 助教(工学研究科 材料化学専攻 応用固体化学研究室)

  • チューター

    岡田 眞理、河内谷 佑季、福田 真幸

  • ボランティア

    三宅 仁介

  • 実習の内容

    着色現象―ガラスと銀微粒子を例に―と題し、物質の着色について2つの実習を通じて学んだ。
    1.ガラスの着色:溶融急冷法を用い、添加物として遷移金属イオンあるいは希土類イオンを加えたホウ酸塩ガラスを作製した。まず原料を電子天秤にて秤量し、均一に混合した後、電気炉にて1000℃で10分間加熱した。その後、融液をステンレス板上に流し出し、急冷することでガラス試料を得た。得られたガラスの着色および紫外線照射時の可視発光現象を観察し、その起源について講義した。遷移金属を添加したガラスは鮮やかに着色するが、これを3d軌道間の電子遷移と結びつけ解説した。他方希土類イオンを添加したガラスは紫外線を照射することで可視光を放つ。この発光現象を4f軌道間の電子遷移と結びつけ解説した。加えて身の回りのガラス製品の製造方法と近年の進歩について概説した。
    2.銀微粒子の着色:液相法を用いて銀微粒子を作製し、粒子サイズと着色の関係について講義した。銀の種結晶を含む水溶液にアスコルビン酸を含む溶液を加えることで種結晶を成長させ、銀微粒子を作製し着色を観察した。種結晶濃度を変えることで異なるサイズの微粒子が得られ、異なる着色が見られるが、その原因について講義した。銀微粒子中の自由電子のプラズマ振動が可視光と共鳴することで着色すること、および自由電子の数によって共鳴波長が変わり、色が変わることを解説した。加えてステンドグラスなど金属微粒子の着色を利用した製品について概説した。

  • ガラスの溶融急冷
  • 銀ナノ微粒子の観察
  • 実習の全体風景

活動を通して学んだこと

  • 今日は二つの実験をした。 一つ目は、酸化ガラスの作成だ。原料はNa2CO3とB2O3で、さらに添加物として私はCuOを測り取って混ぜた。次に、その試料を1000度の電気炉で十分間溶融した。その後、溶けた試料を金属板の上に垂らし、同じような金属板で蓋をした。数分後、試料は水色の透明なガラスになっていた。1cmくらいの大きいものもあったが、ほとんどが5mm以下の小さな破片になっていた。続いて、できたガラスにブラックライトを当てると薄く黄色の光を放った。ガラスを形成しているのはNa2CO3とB2O3で、添加物を入れることで色がついたり発光したりしたそうだ。他のメンバーは別の物質を添加物として加えたのだが、そのような性質をもたらした添加物は遷移元素やキドルイ元素にあたる。反応で移動するで電子によってエネルギーが吸収され、吸収したエネルギーの波長によって見える色が決まる。ブラックライトを当てると光ったものは、紫外光を吸収した。 二つ目の実験では、銀ナノ粒子を作った。SEED含有溶液という、核となる粒子の入った黄色がかった透明の液体に、硝酸銀水溶液を加えた。反応が均一に起こるように、一分間に1mlの速さで加えた。SEED含有溶液の量がそれぞれ違う、7つの試料を一人が1つ担当し、作った。核となる銀微粒子の量が変わることで、完成する銀微粒子の大きさが違う。SEED含有溶液が少ない方が大きい銀粒子が、多いと小さい粒子ができる。完成した溶液は、小さい粒子のものは赤黒く、SEED含有溶液が増えるにつれて青黒い色、青色、緑になっていき、一番大きい銀微粒子のものは白濁して、薄い紫色をしていた。色がついたのは、自由電子が光を吸収したためで、自由電子の数によって違う色を吸収する。そのためSEED含有溶液の量によって反応後の溶液の色が違った。 この二つの着色は、テレビの蛍光体やステンドグラスの着色と同じ原理で、生活の役に立っている。そのような着色の仕組みを実験を通して学ぶことができた。
  • 今回は着色をテーマに、ガラスと銀ナノ粒子の合成・生成を行ないました。ガラスは、原料を秤りとり、坩堝に入れて電気炉で加熱をしました。それぞれ加える添加物によって色と光物性に明確な差が生まれましたが、それが周期表上の位置関係と一致していることがわかりました。実験では、電気炉から合成したガラスを取り出して急冷したため殆どのガラスが割れてしまいましたが、企業などではこの冷却方法や組成を工夫することで窓ガラスや車のフロントガラスなどを生み出していると聞き、この分野と社会との強い結びつきを感じました。銀ナノ粒子の合成は銀粒子の核のSEED原液に銀イオンを滴定し、色の変化を見ました。白色光から出た光が物質にあたって反射したものを私たちが見ているのだということは知っていましたが、今回の実験によってそのことを実感を伴って理解することが出来ました。この2つの実験は、どちらも着色についてとはいえども過程やメカニズムは全く異なるということを学びました。
  • ◎実験I ・Na2O-B2O3系を対象とした酸化物ガラスの作成を行った。 ・添加物がもつ電子の軌道間の遷移の分だけエネルギー(可視光)が吸収され、ガラスが着色される。これはイオンによる着色と言い換えることができる。 ・添加物がもつ電子の数によって吸収する光の波長が変化するため、添加物の種類によって発光する色が異なる。また、ガラスを形成するNa2CO3とB2O3の配合の割合を変化させることで、添加物の周囲の環境が変わり、着色・発光する色も変化する。 ・遷移元素と希土類元素を添加したガラスは着色・発光する。これらの元素は軌道に電子が詰まっておらず、電子の移動が行われるためである。
    ◎実験II ・銀ナノ粒子を例に、粒子の大きさによる溶液の色の違いを比較した。 ・銀ナノ粒子の核(SEED)の原液にAgNO3を加えると銀ナノ粒子が完成する。原液の濃度を上げると、同体積に含まれる銀微粒子が多くなり、1つの粒子に付着するAgNO3が相対的に少なくなるので、1つずつの粒子は小さくなる。 ・物質の粒子が小さいとき、「表面プラズモン」と呼ばれる現象が起こる。これは自由電子の集団振動と光のエネルギーのやりとりである。この実験でも、銀の自由電子が光を吸収することによって溶液が着色された。
  • 私たちの身の回りにはステンドグラスのように着色されたガラスがあるが、それらは塗料で塗られたわけではない。どのようにしてガラスは着色されているのかを今回の講義で学んだ。今回は自分たちの手で実験を行い、ガラスを作成した。Na2O3(ソーダ灰)とB2O3(酸化ホウ素)に添加物(今回は酸化コバルトCoO、酸化銅CuO、酸化ユウロピウムEu2O3、酸化テルビウムTb4O7、酸化プラセオジウムPr6O11、酸化インジウムIn2O3)を一種類加えて加熱し、ガラスを生成した。生成したガラスを観察すると着色されたものとそうでないもの、またブラックライトを当てた時に蛍光を発するものそうでないものに分かれた。これは電子の軌道間の移動が関係している。原子内の電子はエネルギーをもつと外側の軌道に移動し励起状態になる。そのあと、直ちに基底状態に戻り、そのとき、エネルギー差を、光として発する。厳密に言えば、電子が可視光のうちいくつかの波長を吸収している。よってこの光の色が私たちが実際に目で見ている色なのである。原子によって色を示したり示さなかったりしたのは、電子配置が関係しており、遷移元素は外側の軌道に余裕があるため移動できるのだが、典型元素はほとんど電子が入れる隙間がないため、励起状態になりにくく、可視光を吸収しない。また、同じ添加物が含まれていてもソーダ灰や酸化ホウ素の割合が異なれば、色合いが微妙に変わるのである。 ガラスではないが同じように物質の色を調整する実験を他に行った。SEEDと呼ばれる微粒子の核となる銀イオンをふくむ溶液を銀イオンの割合を変えたときの溶液の色を観察した。結果は銀イオンの割合が高いほど暖色に近づき、割合が低いほど寒色に近づいた。これは、銀イオンの割合によって粒子の大きさが変わり吸収する可視光の波長が異なったからである。このように金属の自由電子によって色が変わるものもある。  講義の途中、先生からもっと身近なものをミクロな視点で見てみてくださいという言葉をいただいた。今回扱った着色ガラスもミクロな視点で見ると、電子が励起状態になって基底状態に戻っていることが要因だとわかるし、他にも調べてみると面白いものがあると思う。理系の人間としてそのような着眼点を持っておくのもいいと思った。また、今回実験したようなガラスの着色は日本や外国でも伝統工芸として昔から行われているという話もあった。日本では江戸切子、外国ではイタリアのヴェネツィアガラスが有名である。それらは昔ながらの知恵であり、調合は秘伝のレシピであり、昔から人類は科学を用いて社会を発展したり、暮らしを彩って来たと考えると科学がどんどん面白く思ってきた。
  • 色というのは不思議なものだと思います。何気なく暮らしていると身近に存在しているのにいざ疑問の目を向けてみると様々な物理現象や物性が絡み合った複雑なものとなります。今回の活動では着色のメカニズムのうちエネルギーの差によって起こるものと表面プラズモンという現象によって起こるものの2つを学びました。これらの着色現象はどちらも電子が関わってくるミクロ世界の現象です。ミクロのものごとはイメージしづらいですが、色として表れることではっきりと目で見て理解し楽しむことができました。また、このような着色現象が古くから工芸品などに利用されているということに驚きました。日常に溢れている技術や事象などをこのように化学の観点から見てみるというのも面白いと思います。
  • 今回は前回の測定が中心の分野とは違い合成が中心の分野だった。「色」には加法混色という発光によるものと減法混色という吸収、反射によるものがある。加法混色については、実際に粉を秤り取りそれぞれに異なる添加物を調合しガラスをつくり発色の様子を観察した。粉を秤り取るにも小数第三位まで本当は秤り取らなければいけないことを聞きなるべくその数値に合わせようとしたが、なかなかできなかった。電子の移動に伴うエネルギーにより発色し、軌道中の電子の個数が関係していると分かった。また、発色する添加物は周期表でも同じような位置にあった。周期表は元素の性質を表しているというのを実感できたので良かった。ガラスは日常的に見るものだが用途に応じて様々な組成で作られ、その性質も異なると知りとても魅力を感じた。減法混色についてはSEED含有溶液にAgNO₃を滴定してSEED原液の量の違いによる色の変化を観察した。ここでも3.0mlを3分かけてゆっくり滴定しなければいけなくとても難しかった。今回で慎重に行わないと思うような結果が得られないというのを実際に体験し、実験の厳しさを思い知らされた。

2017年12月2日

  • 実施場所

    桂キャンパス A3棟202号室

  • 当日の講師

    木村 俊作 教授(工学研究科 材料化学専攻 木村研究室)
    宇治 広隆 助教(工学研究科 材料化学専攻 木村研究室)

  • チューター

    上田 侑奈、高垣 和志、杉浦 美月

  • 実習の内容

    「ナノスケールの分子集合体調製と観察」というテーマで、実習を行った。
    まず、実習に先立ち、高校化学の教科書とヴォート基礎生化学を基に、界面活性剤やリン脂質の二分子膜等の分子集合体の周辺知識についての解説を行い、高校知識の確認と大学レベルの予備知識を提供した。
    その後、両親媒性ブロックポリペプチドを用いた集合体調製を行った。
    得られた集合体のサンプルと、事前に準備していたサンプルについて、DLSやSEM、暗視野顕微鏡を用いてサイズや集合体の形状を観察した。
    また、当日測定が困難なTEMやAFMの観察像を提供することで、ヘリックスペプチドの自己組織化の様式やモルフォロジ―変化の要因など、両親媒性分子の分子レベルでの振る舞いについて考察する場を設けた。

  • 実習前の講義
  • 集合体の調製
  • 集合体の粒径測定

活動を通して学んだこと

  • ナノスケールの分子集合体を調製し、観察した。始めに、エタノールインジェクション法で集合体を調整した。それは、両親媒性ポリペプチド溶液を緩衝溶液に加え、4度で撹拌し、加熱するという方法だ。それで調製されるのは短いチューブのサンプルだ。私は運良く実際に溶液を混ぜる作業やらせていただけたので、すぐに混ぜるというアドバイスをもらって、体験することができた。次に、調製したものとベシクルを動的光散乱法で測定した。ベシクルは、球状で中に水が入っているという構造だ。動的光散乱法では、光で形を観察できない大きさのものも散乱光で観察することができる。その結果は、山なりのグラフになってでてくるのだが、今回は幅が狭くて高い、鋭い形になるという結果だった。そのことから、サンプルのほぼ全てが同じ大きさであるということがわかった。その傾向はチューブよりベシクルの方が強かったが、ほぼ似たようなものだった。それから、原子間力顕微鏡 (AFM) で見たシートのサンプルのデータや、走査型電子顕微鏡 (SEM) で長いチューブのサンプルを見るなどした。AFMでは、カンチレバーとサンプルの相互作用の力を検出して形を測定する。サンプルの高さが変わらないときは サンプルに当たっている探針の振動振幅は変化しないが、高い場所に上がるときは振幅が減少し、低い場所に下りるときは振幅が増加する。SEMでは波長の短い電子線を利用し、サンプルから反射した電子を観察する。今回SEMで見た長いチューブは、あまりはっきりと見えなかった。 これは昨日の時点ではもっときれいに見えていたようなので、何かが変化してしまったようだ。同じ形の別のサンプルのデータを見て確かに長いチューブがあることを確認した。 以上のような、分子体の調製、測定の方法や仕組みについて学ぶことができた。私たち自身の目で直接見ることができるものは限られていることを知った。そして、もっと小さな、ナノスケールの世界の様子をいろいろな種類の顕微鏡を使って見ることができた。 また、工学部や私の興味のある農学部についての話を聞くこともでき、工学部といってもいろいろな分野があって、様々な研究があることを学ぶことができた。
  • ナノスケールの分子集合体を調製しそれの観察を行いました。ナノスケールの分子集合体というと、いかにも複雑そうで調製に技術が必要なのだろうと想像していましたが、緩衝溶液に両親媒性ポリペプチドエタノール溶液をいれて攪拌・加熱を行うだけの簡単な作業で分子集合体のサンプルが出来上がり、驚きました。この誰にでもできるところがこの研究室の強みだと仰っていた事が印象的でした。そして観察は、数種類の顕微鏡を用いて行いました。ナノレベルの物質は可視光線の波長より小さく通り抜けてしまうため、光学顕微鏡では観察不可能なのだと教わって納得しました。この顕微鏡のなかで最も面白いと感じたのは走査型電子顕微鏡で、ナノスケールのものの形を鮮明にみることができました。このような、高校にいてはまず見られない貴重な機械に触れられて嬉しく思いました。また、このような貴重な機会を頂いたことを喜ぶだけで終わらず、これからの研修も知識を積極的に吸収する姿勢を持って望もうという決意が新たになりました。
  • ・ポリペプチドは親水部と疎水部から成っており、それらが水中に分散すると疎水部の体積に応じてミセルやチューブ、平面シート、ベシクルといった多種多様なモルフォロジーをとる。これは、疎水性相互作用により疎水部が水に触れないように自己組織化(集合化)するためである。また、相分離などを利用してワイン樽のような組織やチューブの先にベシクルがついたような組織など、様々な形状の組織を作ることができる。 ・自然界において、疎水性ヘリックス(以降ヘリックスと表記)はヘリックスバンドルと呼ばれる規則正しい配列を形成している。この構造は天然のタンパク質にも多く見られ、安定で均一な物質であるため内包物の漏出を防ぐことができる、疎水部が絡み合わないため膜流動性を持ち、免疫の回避ができるなどの利点がある。 ・ヘリックスには右巻きのもの(L体)と左巻きのもの(D体)があり、互いにキラリティを持っている。L体、D体単体ではそれぞれキラリティを持っており、分子に対称性がない。このことがチューブのように方向性を持った(異方的な)形態につながる。一方、L体とD体を組み合わせる(ステレオコンプレックス)とキラリティが相殺され、ベシクルのように方向性がない(等方的な)形態につながる。 ・自然界において、ヘリックスのロイシン側鎖が強く相互作用し、ジッパーのようにかみ合うことをロイシンジッパーという。疎水基であるイソブチル基が2本のヘリックスの間で結合していることにより、ロイシン側鎖の強い相互作用が生まれる。 ・加熱によって分子集合体が成長することがある。例えば、加熱前には曲率のあるシート状であった分子集合体が、90℃で1時間の加熱によってチューブを形成するようになる。これは、熱というエネルギーを与えることで、分子集合体が露出した疎水部を隠すように成長し、より安定な状態に向かうためである。 ・分子集合体の観察に様々な顕微鏡を用いたが、それぞれの顕微鏡は3つのパラメーターによって特徴づけることができる。それは、波長、光の種類(直射光か散乱光か)、(原子線を使った顕微鏡の場合)原子線の用い方(反射か透過か)である。
  • 今回はナノスケールの分子集合体の調整と観察というテーマで実習を行った。分子集合体とは水になじみやすい部分(親水基)と油になじみやすい部分(疎水基)を持つ分子が溶液中の濃度や温度、圧力などの条件によって集まったものである。分子集合体はチューブ型のものやベシクルという球状のものやシート型のものが生成される。集合体調整はエタノールインジェクション法という方法で分子集合体のチューブ型を調整した。調整後は分子集合体を観察した。しかし、分子集合体は光波の波長(数百ナノメートル)よりも小さいため肉眼や学校で使うような顕微鏡(光学顕微鏡)では見ることができない。そこで、そのようなとても小さい物質を観察するために様々な方法がある。一つは物質に光を当てて、その散乱光から粒径を測定する方法である。これを動的光散乱法という。この仕組みを用いる顕微鏡はナノサイトと呼ばれるものだ。散乱光で物質を観察するのは暗視型顕微鏡も同じである。これは油をステージとプレパラートに落とさなければ見えないそうだ。また、光の代わりに電子を用いる観察方法もある。電子を物質に当て、物質を透過した電子を観察する仕組みで、この顕微鏡は透過型電子顕微鏡と呼ばれている。また透過した電子ではなく物質を反射した電子を観察するのが走査型電子顕微鏡だ。他にも、今回の実習では用いなかったが、原子間力で動くほど小さい針も用いて像をプロットすることで観察する、原子間力顕微鏡というのもあるそうだ。実際に観察してみると、今回調整した分子集合体は約190ナノメートルであった。
    また、今回の実習で先生から与えられた資料には全て参考文献が付属していた。助教の先生から今日出た全ての内容の参考文献をつけておいたから、わからないことがあったら調べなさいと説明があった。また、初めに分子集合体や今回の実習内容について教えてくださった木村教授は、日頃の講義では教科書にも書かれていない発展的な内容を教えられていることを聞いた。これは生徒が予習で教科書を読み込んできたことを想定した結果だそうだ。材料化学分野における研究は主に二種類に分かれるそうだ。一つは測定、もう一つは合成である。特に、合成はまだ世の中にはない物質を作り出したり、新たな合成方法を生み出すため常識にとらわれない柔軟な発想が必要なのだそうだ。そのため、教科書に書かれていること、つまり、ありきたりで既知の内容だけでなく、その枠組みを越えた考えをしてほしいということでこのような授業を行なっているそうだ。
    その話を聞き、私は今の学習に対する考え方が変わった。私たち高校生が教科書で学んでいることはあくまでも高校学習指導要領に基づいたものであり、本来学問には区切りなどないのだということに気づいた。と同時におそらくこのことに早くに気づき既に高校レベルを超えた学習をしている人もいることを思うと少しゾッとした。
  • 実習には参加することができなかったが、基本的な化学の知識を自習で得ることができた。
  • 分子の観察の手法というものは今まであまり意識したことはありませんでしたが、顕微鏡には可視光を使ったものと電子や原子間力を利用したものがあることや、光の散乱や透過を利用したものがあることを知りました。肉眼で見えないミクロスケールの世界で起こっているものをどのように観察するのかということは化学という分野の大きなテーマの一つだと思います。そのような見えない物をDLSなどを使ってリアルタイムで観察するということに非常に好奇心を掻き立てられました。  また、担当して下さった方々からオープンキャンパスでは聴けない大学の実情やその後の進路の話を聴くことが出来ました。
  • ひとつのサンプルを観察するにしても、変化を見たいのならばカンチレバーとサンプルの相互作用の力を検出して観測する原子間力顕微鏡を、実際の形を見たいのならば可視光よりも波長の短い電子の波長をサンプルに透過、反射させて観測する電子顕微鏡を用いると知った。目に見えないサンプルを扱うので目的に応じて様々な方法で観察する必要があると学んだ。分子集合体の粒径の測定をした時、2つの計測器からの結果のグラフを見比べたのだが縦軸と横軸をよく確認せずにグラフを見てしまっていた。様々な視点から観測するのでこの観測機はサンプルのどの様な性質を示してくれるのかをよく理解していないとそれらを上手く活用することはできないと思った。また、観測機にはサンプルの種類によって誤差が大きくなるものもあると知った。実際、動的光散乱ナノサイトという散乱光で観察する装置は円形のサンプルでは誤差が小さいがチューブ状のサンプルでは誤差が大きくなっていた。観測機は全て英語表記だった。英語をもっと勉強しないといけないということを改めて感じさせられた。

2017年11月18日

  • 実施場所

    桂キャンパス 無機構造化学実験室(A2-326室)

  • 当日の講師

    三浦 清貴 教授(工学研究科 材料化学専攻 三浦研究室)
    下間 靖彦 准教授(工学研究科 材料化学専攻 三浦研究室)
    清水 雅弘 助教(工学研究科 材料化学専攻 三浦研究室)

  • チューター

    中西 佑太、辻 悠太

  • 実習の内容

    通常ではガラス化しない組成を主成分とするガラスをガス浮遊レーザー溶融法により、無重力状態で作製した。作製したガラス(CeドープY3Al5O12ガラス、Dy3Al7O15ガラス)における発光あるいは磁性の観察を通してガラスと結晶の違いを学ぶ。また、それらの光学および磁気的性質を調べ、機能発現のメカニズムを考察する。

  • 作製したガラスの発光を確認
  • 実験結果の考察

活動を通して学んだこと

  • 今回、最初にガラスと結晶の違いについて学んだ。始めに、これらの共通点はセラミックスである、つまり熱処理によって製造された物質であるという点だ。ガラスと結晶の違いを、構造と物性の二つの観点から考える。まず、構造の観点からの違いは、原子配列の違いにある。 結晶は規則的であり、ガラスはバラバラで、周期性を持たない。結晶には単結晶と多結晶がある。単結晶は端から端まで構成原子が規則的に配列しており、多結晶は細かい単結晶が集まってできている。 ガラスはバラバラの配列のため、結晶と違って結合の角度も一定ではない。次に、物性の観点からの違いは、結晶は固体で、ガラスは固体と液体の間の非平衡準安定状態であるという点だ。結晶よりガラスの方がエネルギーが高い。冷却速度が速いとき、 過冷却の状態になり、ガラスができる。そうでないときは、融点に達したとき温度が急に下がり、結晶ができる。ガラスは速く反応してできるので、原子が規則正しく並ぶ時間がないのだ。 また、磁石に引きつけられる透明なガラスについて考察した。今日その様子を観察したガラスは、ガス浮遊レーザー溶触法によって作られた1mm の球状のガラスで、浮いた状態で作られる。その無容器状態 (無重力状態) で反応させるメリットは、容器の影響がない、不純物が入らない、冷却速度が速いという点である。宇宙で研究がなされている理由も同じようなことであるようだ。そして、そのガラスが磁石に引きつけられる理由は、ジスプロシウムを含んでいるからだ。ジスプロシウムは、低温で自発磁化を持つ。 そのような低温で自発磁化を持つ元素は全部で五種類あり、常温で持つものは四種類存在する。 以上のような、ガラスや結晶についてを学んだ。 また、実験をした研究室とは別の、研究が行われている部屋や、図書館を見学させていただいたことから、研究室の雰囲気を体感することができた。
  • 前回の実習で、ガラスは「長時間放置した時に形を保持できず流れるので液体である」という力学的な定義を学びましたが、今回の実習では、ガラスは「液体の乱れた原子構造を保持したまま固体化した物質」だと学びました。同じ材料化学の分野でも、研究者によって物質の定義が異なることがあるのだということを知ることが出来ました。「学校の教科書には本当に確実なことしか載っていない。研究の最前線は本当に分からないことばかりです。」という先生の言葉が強く印象に残りました。
  • ◎結晶とガラス
    ・結晶もガラスもセラミックスの一種であるが、その構造には違いがある。結晶には単結晶、多結晶の2種類があるが、どちらも物質の構成原子が規則的に並んでいることが特徴である。一方、ガラスは原子の並びに広範囲の規則性・周期性を持たない(歪んでいる)。この違いが生じるのは、分子間の結合の角度が結晶とガラスで異なるためである。 ・結晶は熱力学的な安定相(固体)であり、融点で結晶化するが、ガラスは安定相ではなく(非平衡準安定状態)、冷却速度によってガラス転移温度が変化する。 ・ガラスは結晶に比べて冷却が速い。そのため、それぞれの原子が整列する前にガラスに転移してしまい、原子の並び方が不規則になる。
    ◎励起・蛍光スペクトル
    ・励起・蛍光という2つのスペクトルについて結晶、ガラスの場合でそれぞれデータを基にした考察を行った。 ・2つのスペクトルについて、結晶のグラフのピークの方がガラスのピークよりも高い。また、励起スペクトルについて、結晶のピークは2つ、ガラスのピークは1つであった。 ・電子どうしが反発し合うことで軌道の安定層が分裂し、不安定層ができることによって、励起スペクトルのピークが複数個になることがある。結晶の構成原子は規則的に並んでいるため、反発の影響が大きくなるので、2つのピークが見られる。
    ◎常磁性と強磁性
    ・ほとんどの物質は、室温では弱い磁性しか示さない。ただし、合金、酸化物、化合物の状態では磁性を示すものもある。
    ・今回実験で使ったDy(ディスプロシウム)は低温で自発磁化を持つ数少ない物質である。
    ◎ガス浮遊レーザー溶融法
    ・下からガスを吹き付けて試料を浮遊させることで、無重力(無容器)状態でガラスを作ることができる。 ・容器の影響がないことに加えて、不純物が入らないこと、冷却速度が速いことで、本来ガラスにならない組成でもガラスを作成することができる。
  • 今回学んだのは、知的な面白さは既に学んだ知識の中に隠れていることがあるということである。今回の活動テーマは発光ガラスと常磁性ガラスだった。初めに結晶とガラスの違いについて考えたのだが、その二つの違いは化学の物質の構造という範囲で習ったことを用いると説明することができた。このように既に習った知識を用いれば説明できる事柄が多くあることを実感したのと同時にもっと教科書に書かれていないようなことを自分で想像して、日頃の生活とリンクして考えることができると考えた。そのためには、日頃の学習を疎かにしないことが最低条件になるため、そのような観点からも日頃の学習を大切にしたい。
  • ガラスが発光するメカニズムを、電子軌道から理解することができた。実験資料の作成方法とデータの取り方も分かった。また、理論値と実験値に差異があった時に、どのような考察をして、どこに問題があると判断するのかという、実用的な研究の進め方も聞くことができた。
  • 今まで自分はガラスというものについて深く考えた事がなく、氷や水晶などの他の透明なものとの違いについても理解していませんでしたが、冷却速度によって結晶と非晶質の違いが生まれることや、それによって物性が異なることなどを知り、改めて材料化学の複雑さとミクロの世界の僅かな差がマクロの物性の大きな差に繋がることの面白さを感じました。  ガラスの製作や加工というと、蜻蛉玉のような古典的な手法をイメージしてしまいますが、ガス浮遊レーザー溶融法という技術を使って本来結晶化するものをガラスにしてしまうというのは非常に衝撃的でした。 発光や常磁性という、常識ではガラスに存在するのが不思議な性質を作ってしまうというのはとても興味深く、また目の前で見ることで無機化学への意識を持つことが出来ました。
  • ガラスと結晶の大きな違いは構成原子が規則的に配列しているのか、不規則に配列しているのかというところにある。YAG組成のガラス及び結晶の励起蛍光スペクトルのグラフからわかる考察について、結晶にはピークが複数あるが、ガラスにはピークが1つしかない理由について考えた。結晶は規則正しい配列なので場の小さな変化(電子の反発など)に敏感で異なる波長を吸収し、ピークが複数できる。一方でガラスはそれ自体が不安定なので小さな変化に影響を受けなく、ピークが1つだけになるというのが理由であった。実際に測定をした時、グラフがなかなか思い通りに出なかった。ここで実験の厳しさを学んだ。理論ではこうなると分かっていても実験でそれを証明しないときちんと評価してもらえない。なぜ上手くいかなかったのか考えることも大切だと思った。また、移動途中に先生が化学は物理と生物の間にあり様々な分野に関わることができると言っていた。今や物理だけ、生物だけの分野は無いので、自分で興味のない分野についても知識を身につけていかないといけないと思った。

2017年11月4日

  • 実施場所

    桂キャンパス A3棟106号室

  • 当日の講師

    瀧川 敏算 教授(高分子機能物性分野)
    堀中 順一 准教授(高分子機能物性分野)

  • チューター

    本多 信太郎、山本 寛治、矢尾 晃一

  • 実習の内容

    高分子溶液や一時網目系(高分子液体という)が示す特異な流動挙動を観察した。低分子液体のそれとの比較することに特異性がより明確になった。特に、高分子液体が示すワイセンベルグ効果やバラス効果などの弾性が関係する効果を詳細に調べ、それらと高分子のからみ合い構造との間の関係を学習した。また、高分子ゲルのような柔らかな高分子固体の力学的性質についても観察を行い、金属やセラミクスには見られない高分子網目系に特有のエントロピー弾性の発現機構についても理解を深めた。

  • 材料化学_実習風景バラス効果の観察
  • 材料化学_実習風景ワイセンベルグ効果の観察

活動を通して学んだこと

  • 複雑液体というかたい液体のようなものと、ソフトマテリアルという柔らかい固体の物性についてだった。始めに、液体と固体の力学的な定義は、長時間静置して形を保持するかどうかであることを学んだ。形を保持すれば固体、変化すれば液体だ。静置する時間は、物によって様々である。その中で、ガラスは百年、千年以上置いておくと形が変わる、つまり液体であるということになる。かたい液体もある、また、高分子ゲルのような柔らかい固体の例も知った。次に、高分子液体の挙動について学んだ。高分子液体は、のばしてすぐに(数秒以内で)ハサミで切ると、伸ばした輪ゴムを切ったようにはねかえる。ガラス棒をさして棒自体を回転させると棒に巻きついて、這い上がってくる。今回この実験の試料はスライムだった。這い上がってくるのを、ワイゼンベルク効果という。また、高分子液体をピペットで押し出すと、径より太く、膨れて出されてくる。これはバラス効果という。そして、ビーカーに入れた高分子液体を少し下に垂らして置いておくと、だんだん下におりていく。一杯に入っていた液体が、一度傾けて垂らすと、ビーカーを放っておいても中にあった液が下におりていくのだ。長い分子の場合、全てが下におりることもあるそうだ。ハサミで切れる、這い上がる、膨れる、巻き上げられるといった、これらの流動挙動と分子の構造について学んだ。分子の架橋点が多い方がかたく、少ない方、つまりからみあいが少ない方が柔らかい。また架橋が均一である方がよく伸びる。これは架橋点に偏りがあると特定の部分に強い力が加わってしまうためだ。高分子液体と高分子固体の構造は似ており、分子の交わっているところが結合しているかどうかが違う点であることを学んだ。結合している方は固体で、ひっかかっているだけの方が液体だ。ひっかかっているだけといっても、からみあいが存在し、分子は自由に動けない。それから、ワイゼンベルク効果では分子が流れの方向に伸ばされ、バラス効果では細管の中で伸ばされていることを学んだ。以上のような高分子液体、固体の構造や振る舞いとその仕組みについて学ぶことができた。
  • 複雑液体とソフトマテリアルの物性というテーマのもと講義を受けたり実験を行い、高分子液体と高分子固体について学びました。実験では、私の知らないような高度な薬品や機械、特殊な物質だけを使って行うのかなと思っていましたが、寒天や水あめ、スライムなどの馴染みのあるものを使用していたので、驚きました。身近な物質も、研究対象となるのだと感じました。力学的な液体と固体の定義を知れたのが良かったです。
  • ・大まかに言うと複雑液体は「かたい液体」、ソフトマテリアルは「やわらかい固体」と表現できる。なお、力学的には、地球上で長時間放置したときに形を保持する(流れない)ものは固体、保持しない(流れる)ものは液体と定義される。 ・「かたい液体」の一つに高分子液体があり、これは特殊な挙動(ハサミで切れる、這い上がる(ワイセンベルク効果)、膨れる(バラス効果)、巻き上げられる、吸い上げられる、肌荒れ、跳ね返る)を示す。 ・一方、「やわらかい固体」には高分子ゲルがあり、ゴム弾性、法線応力効果などがみられる。 ・高分子液体は高分子の鎖どうしの交点で鎖どうしが引っ掛かり、からみあいが生じている。高分子液体は、短時間領域ではこのからみあいによって固体的な性質(流れない)を示すが、長時間領域ではからみあいが消失し、液体的な性質(流れる)を示す。ゆえに、高分子の鎖が長い物質のほうがからみあいの数が多くなり、固体的な性質を示す時間領域は長くなる。 ・高分子ゲルでは、鎖どうしの交点は架橋点でパーマネントに結合している。この架橋点の数は固体の固さを、均一性は伸びやすさを決定する要因となっている。 ・高分子液体と高分子ゲルは全く別物のように思われるが、その性質の発現機構には共通点もある。例えば、ワイセンベルク効果と法線応力効果についてだ。ワイセンベルク効果は、流れの方向に高分子の鎖が伸びて回転軸の方向に圧縮力が働くことによって起きる。これは、ゴムをねじるとその方向に圧縮力が働く法線応力効果と仕組みの上では似ていると言える。
  • 高分子流体では低分子流体とは異なった興味深い挙動を見せることを、実験を通して、はっきりと理解できた。中でも、高分子流体を細い管から押し出す時に発生する、メルトフラクチャーとシャークスキンに興味を持った。このような現象を、低分子流体でも見たことがあったので、自分で研究してみたい。
  • 私は高分子化学というものに前から少し興味を持っていましたが、学校等で習うのは主に分子量数百以下の低分子で、その物質の単純で基本的な面ばかりを学んできました。しかし、私達の今までの常識とは異なる高分子液体・固体の物性に触れて、化学の奥の深さを改めて知ることができたと思います。今までの自分であれば不思議、面白い、という感想で終わっていたかもしれませんが、そこに潜んでいる理論を知ることで、見た目だけでは分からない細かな物性まで学ぶことが出来ました。このことから、見たり触れたりして分かる物性は全て分子の構造と結びついている、ということを純粋に興味深く思ったのと同時に、95%が水の固体など、思いがけない応用ができそうな物質を知り、材料化学の意義を少し感じとることが出来ました。
  • 実習では講義で聞いた現象を実際に確かめたのだが、実際に自分で確かめることの大切さを学んだ。特に今回は高分子液体、高分子固体という特殊な性質をもつものについてで、起こる現象もあり得ないことばかりだったので講義を聞いても想像がつかなかった。だが、実際に確かめることで分かることもあった。例えば、講義でワイセンベルク効果は、高分子液体が回転する棒に這い上がっていくという現象だと聞いた。実習で棒の回転数を変えてみると液体が這い上がる高さが変わった。そして、そこで初めて自分はこの現象は棒の回転数と重力に依存すると分かった。また、実習では人によって理解度が違ってくるくると思った。実際に確かめるにしても1回だけしか確かめない人や何回も条件を変えて確かめる人がいる。今回自分はただ起こる現象について再現しただけだったが、より深く理解するためには何回も確かめるべきだった。実習では人によって理解度が違ってくるのでその後の話し合いは意見を共有するためのとても重要な場であると改めて感じた。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート