京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[専修コース]低温物理学

理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 低温物理学研究室

2017年6月18日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館308号室

  • 当日の講師

    松原 明 准教授

  • チューター

    福部 翔太

  • 実習の内容

    今回は超流動ヘリウム4の第2音波用のセルの作成を行った。サンプルセルは樹脂の円筒の両端に樹脂の蓋がある構造であり、一方の蓋にヒーター、他方に温度計をセットして温度はである第2音波を観測する。ヒーターは直径0.16mmのニクロム線を用い、温度計は酸窒化ジルコニウム薄膜の温度計センサー(Lake Shore社製 Cernox シリーズ)を用いた。共に微小サイズであり、工作には拡大鏡や顕微鏡が必要だった。セルが形になったので、次回超流動ヘリウム温度でのテストを行う予定である。

  • 樹脂(スタイキャスト)のパーツに穴を開ける作業
  • セルにヒーターをセット
  • 顕微鏡を見ながら温度計をセット

活動を通して学んだこと

  • 温度計の設置が想像以上に難しいことを知りました。そもそも温度計が小さいため、双眼実体顕微鏡を用いながらの作業であり、加えてその温度計にはんだ付けをするものであったので、先生も細心の注意を払って取り付けていらっしゃいました。
  • 今回の実習では前回設計したセルを実際に製作した。松原先生が事前に作ってくださった蓋や管に穴を開けたり、ニクロム線を付ける方法を考えたりした。樹脂で作った部品や、穴をあける際に油がたくさんついた部品を洗う超音波洗浄機や、管を作るときなどに使う機械など見たことのない道具を見ることができて興味深かった。
    私が担当した作業は温度計を蓋に付ける(練習)だった。第4音波の実験というだけあって、部品は全体的にミニサイズだった。温度計は普段見るような細長いものとは違って非常に小さく、顕微鏡を見ながらの作業だったため緊張した。温度計のどちらの面を接着するか、どの向きに付けるかなど実際に作るとなると考慮しなければいけないことがたくさんあった。練習用はなんとかついたが、先生が担当してくださったより小さい本番の温度計は大変つきにくそうだった

2017年6月3日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館308号室

  • 当日の講師

    松原 明 准教授

  • チューター

    福部 翔太

  • 実習の内容

    今回は超流動ヘリウム4の第2音波の測定を行うための測定セルの設計について議論を行った。細部にわたり様々な意見が出たが、最終的にセル全体は熱伝導性の悪いエポキシ系樹脂であるスタイキャスト1266を用いることとした。検出部である温度センサは円筒の一方の端に設置し、ワニスで固定することにした。音波の発生源であるヒーターは細いニクロム線を用いることとした。次回、この設計に従って測定セルを組み上げる予定である。

  • 実体顕微鏡で微小温度センサを確認
  • 測定セルを設計するために計算を行っている
  • 白板を使ってセルの構造について議論している

活動を通して学んだこと

  • 今回のテーマはセルの計画をたてることだった。前回は既にできているセルを使って実験した。自分達だけで考えるのはできなかったが、実際にセルを作ったことがある先生方にたくさん指導していただいて設計することができた。設計する前は形を考えるだけだと思っていたが、実際はセルを何で作るか(第二音波では熱が振動するため、熱伝導等を考慮しなければならない)等も考えなければならなかった。
  • 超流動現象が観察されたのは「ヘリウム3」と「ヘリウム4」であるということはかなり以前から知識として知っていたのですが、ヘリウム3がフェルミ粒子で、ヘリウム4がボース粒子であるという点において、それら二つの「ヘリウム」と名の付く物質は明確に区別されるべき存在であるということは初めて知りました。それに加え、ボース粒子、フェルミ粒子というものについても、名前は知っていても具体的にどのような性質を持っているのかについては今日の授業を受けて初めて知りました。やはり、表面的に知識を蓄えていても全く意味はなく、先生から深く突っ込まれた時に的確に返答できて初めてその知識が意味を持つのだということを今日の授業を受けて改めて実感しました。

2017年5月28日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館308号室

  • 当日の講師

    松原 明 准教授

  • チューター

    福部 翔太

  • 実習の内容

    今回は超流動ヘリウム4の第2音波の測定の基礎として、ロックインアンプを用いた測定を行った。まずロックインアンプの測定の原理について学習し、その後空気中の音波の共鳴測定を行って音速の導出を行った。さらに液体ヘリウムを用いて、温度降下により常流動ヘリウム4液体が超流動ヘリウム4に相転移する様子を観察したのち、超流動ヘリウム4中の第4音波での共鳴測定を行い、共鳴信号上の複数の音波モードや圧力発生/検出素子自体の共鳴モードの確認を行った。そのデータから超流動ヘリウム4の第4音波の音速の導出を行った。

  • コンピュータを制御して音波の共鳴を測定
  • 装置のスリットから超流動ヘリウム4を観察
  • 測定装置の説明を受けている

活動を通して学んだこと

  • 今回の実習では改めて第一音波を測定し、その後液体ヘリウムを使って第4音波を測定した。ピエゾ素子を使った第1音波の測定ではロックインアンプを使った。オシロスコープなどでは測定できない位相や周期を測定できる機械だった。セルの大きさと測定した音波の波長から(大体の)音速を出すことができた。
    第四音波の測定ではセルに微粒子を詰め、それを伝わる超流動速度を測定した。測定結果としては共鳴したときの振動の実軸方向のズレと虚軸方向のズレ、共鳴時の周波数を記録した。それによると第四音波の音速は170m/sとなり、貸していただいている冊子によると約1.9Kくらいだったと言える。
  • 測定結果が、必ずしも理論通りにいくとは限らず、多くの要因によって誤差を生み出してしまうということを改めて実感しました。

2017年5月13日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館308号室

  • 当日の講師

    松原 明 准教授

  • チューター

    福部 翔太

  • 実習の内容

    前回学習した内容の復習を行った。その後、テーマに関連する項目として、音波についてより具体的に学習するために、音波の特徴や音速と波長の関連などについて学習をおこなった。その後、音速と波長の関係を体感するために室温での気柱の共鳴の実験をおこなった。まず共鳴管を準備するところから始めて、音響発振子や測定子からリード線の取り出しや、設置を行い、交流発振器で発生させた交流の振動数を変更しながら測定を行った。結果ははっきりと共鳴が見れず、その原因について考察を行った。

  • リード線のはんだ付けを行う
  • オシロスコープを使った信号の観測
  • 測定結果からグラフを作成

活動を通して学んだこと

  • 今回は低温での実験に向けて、まずは常温で共鳴管を作って実験をした。学校の授業で習ったり、問題で解いたりしたことはあったが、実際に実験できたのはとても嬉しかった。
    実験道具を作る過程では、なかなか丸い板と管の穴の大きさが合わなくて苦戦した。実験ではピエゾ素子を使って実験をした。顕著な結果が見られず残念だった。原因は板を削りすぎたことなのかもしれない。学校でやってきた失敗しようのない実験とは違って、試行錯誤するのも研究なのだろうと思った。

2017年4月15日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科6号館308号室

  • 当日の講師

    松原 明 准教授

  • チューター

    福部 翔太

  • 実習の内容

    自己紹介を行ったのち、今後の日程の調整、連絡先の確認をおこなった。その後、論文を示して今回のテーマに関しての説明を行った。テーマは超流動ヘリウム4に関する物性測定ということで、第2音波の測定に挑戦することになった。より具体的な測定内容や測定装置に関しては次回検討することにした。テーマに関連し,超流動ヘリウム4についての講義を行った。講義の内容が高度なため一回では終わらず次回に継続となったため、テーマに関する復習を次回までの課題とした。その後、予備実験で使用予定の装置の他、実際の研究を行っている装置(回転冷凍機)の見学を行った。

  • 低温物理学_実習風景論文の内容についての紹介
  • 低温物理学_実習風景超流動ヘリウムに関する講義
  • 低温物理学_実習風景回転冷凍機の見学

活動を通して学んだこと

  • エントロピーとは乱雑さを表し、気体や液体は分子同士を入れ替えても同じであるようにエントロピーが大きい。同じように考えて固体はエントロピーが小さい。ヘリウムはT=0のときに液体ヘリウムⅡになる場合がある。しかしT=0のときにはエントロピーは0であるはず。そのときヘリウムは、液体ですべての粒子が揃った状態といえ、粒子同士の隙間が狭いため抵抗が少なくて、対流が起こらないため熱を素早く伝えるという性質を持つ。
    超流動ヘリウムといっても超流動体と常流動体の割合は温度によって変化する。第2音波は超流動体と常流動体がそれぞれ逆位相の振動を起こし、温度とエントロピーが波として伝わる。また、渦は第2音波を弱める。
  • 超流動という現象を完全に理解するのには大変多くの前提となる知識がいるということです。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート