京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース後期]物質エネルギー化学

2018年1月20日

  • 実施場所

    桂キャンパスAクラスター
    A2棟5階ラウンジ(実習の説明)
    A2棟5階514室(実習)

  • 当日の講師

    近藤 輝幸 教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 近藤研究室)
    木村 祐 特定准助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 近藤研究室)
    孫 安生 特定助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 近藤研究室)

  • チューター

    石井 拓実、北嶋 夏子、中嶋 理奈

  • ボランティア

    梅原 由衣

  • 実習の内容

    「オスミウム触媒による不斉酸化反応を利用した光学活性化合物の合成」
    有機合成化学において、光学活性化合物の R 体、S 体を人工的に作り分けることは、極めて重要なテーマの一つである。本実習では、2001 年にノーベル化学賞を受賞した K. B. Sharpless 教授が開発したオスミウム触媒を用いるアルケン(C=C 二重結合をもつ 4-ビニルベンジルクロリド)のジヒドロキシル化反応を行い、2種類の不斉配位子を使い分けて、R 体のみ、および S 体のみの合成を2名ずつ、不斉配位子を添加しないラセミ体(R 体と S 体の1:1混合物)の合成を1名が担当し、全員が不斉合成実験を行った。反応終了後、生成した vic-ジオール類を HPLC(キラルカラムを装着)を用いた分析により R 体、S 体、ラセミ体の生成と光学純度の確認、および ESI-TOF 質量分析装置で分子量の測定を行った。

  • グローブボックスを用いれば、空気中で不安定な試薬や反応ができることについての説明
  • グループに分かれて、R 体、S 体、ラセミ体の vis-ジオールを合成
  • 有機合成反応に使用する試薬を秤量し、反応装置に移す操作

活動を通して学んだこと

  • 助教の先生がチューターの方にここの手順はどうして必要なのか、何故こうするのか、などと色々質問されており、それに対してチューターの方もすらすらと答えたり、分からないときは推測を立てて答えたりしておられ、実験をするとはこういうことなのかと気付かされた。もっと、実験手順の意味を考えながら実験をしていこうと改めて思った。
  • 1960年代、サリマイドという薬が発売されていた。主に妊婦を対象に処方されていた睡眠・鎮痛剤だ。しかし、胎児への副作用が確認されたため、販売中止となってしまった。原因は、鎮痛効果のあるR体だけでなく、催奇性をもつS体が含まれていたからであった。R体とS体とは互いの分子構造は同じで、その空間的な配置だけが違う立体異性体である。R体とS体は分ける必要があるのだ。しかし、R体とS体は物性が同じである。そのため、分けることが難しく、人工的に作り分けなくてはいけない。今回の実習ではその作り分けを行った。まず4-ビニルヘンジルクロリドの不斉ジヒドロキシル化反応を実験した。私の班はR体のみを作り分ける課題が出された。そのためには、不斉配位子の働きがとても重要である。不斉配位子は必ず決まった場所に結合するため、結合する場所が2通りある、K2OS[OH]4を1つの結合場所に固定することができるのだ。K2OS[OH]4の結合場所によってR体とS体が別れているため、不斉配位子を用いると、R体のみを作り分けることができるのだ。反応に必要な物質をすべて入れ、1時間攪拌し、最後にNaSO3を入れた。その際に私のフラスコに異変がおきた。3層に分かれるはずが、どれだけ攪拌しても分かれない。それどころか、ビールの泡の様なものが確認され、私のフラスコだけ色が異なっていた。TAの方も原因はわからないそうで、何が出来たのか分析することになった。分析では、しっかりとR体のみを生成することが出来たかが分かるキラルHPLCと、分子量を測定するESI-TOF-MSという機械を用いた。しかし分析結果は意外なものであった。とても綺麗な定義通りの数値を計測することができたのだ。このことから、実験は見た目で判断してはいけないと学んだ。実験は予定通りに進まないことが多い。だからこそ面白いのだと思う。私のフラスコを見たときチューターの方はとても面白そうにされていた。どうして??と、楽しそうに考えられていた。その姿はとてもかっこよく、不安になっていた私も楽しくなってきた。時には失敗が思わぬ発見となることもあるそうだ。この姿勢を忘れずに大学で研究したい。
  • 実験で、欲しいデータ以外にも、いろいろなデータが出てくるということ。触媒は実際に反応させるものに比べて、少なくて良いということ。実験がうまくいっていても、周囲の環境条件によって、結果が変わってしまうことがあるということ。
  • 有機化合物には鏡像異性体(鏡に映せば重なるが、回転させても重ならない構造の有機化合物)が存在することを知った。一見同じ物質のようにも感じたが、片方には鎮静効果があって薬として使いたいが、もう一方には副作用があるなど、その作り分けが有機化学において非常に重要なのだとわかった。また、今回の活動で扱ったのは左右の違いのみでわかりやすかったが、実際には鏡像異性体のようなものが3つ以上ある立体構造の分子もあるのだろうと思った。実験では、ラセミ体(左と右の両方が混じったもの)、S体(左)、R体(右)の作り分け実験を行った。物質を混ぜ合わせるだけでは左右のバランスが1:1のラセミ体が生成されたのに対して、触媒を加えただけでS体とR体を作り分けることが簡単にできて、とても驚いた。また、ラセミ体には意味がないのかと思いこんでいた部分があったが、ラセミ体の反応の方が安定しており、きちんと利点があるのだと感じた。また、今回の活動で最も収穫があったのは実験後の解析である。これまでの実験では解析まで行うことはあまりなかったが、実際には有機化合物が正しく生成されているか確認するステップがいくつもあるのだと知った。特にHPLCは、鏡像異性体の性質をうまく利用していて、非常に関心した。
  • 同じ示性式でも、鏡に映すと重なるけれど、どのように回転しても重ならないR体とS体という2つの鏡像異性体があり、人工的に作り分けることが困難であること。また、今回の実験では不斉配位子を利用してR体、S体、また不斉配位子を使わないでR体とS体を両方含むラセミ体を合成できることを学んだ。また、高速液体クロマトグラフでR体とS体の検出ピークが異なること。質量分析装置で生成物の分子量を分析できること。

2018年1月6日

  • 実施場所

    桂キャンパス A2棟404号室

  • 当日の講師

    阿部 竜 教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部研究室)
    東 正信 助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部研究室)
    冨田 修 助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 阿部研究室)

  • チューター

    岩井 喬史、松岡 輝、高比良 暉

  • 実習の内容

    タンタル酸窒化物光電極の作製と光電気化学的水分解、酸化チタン膜の作製と色素の酸化分解

  • 導電性ガラス基板表面にタンタル酸窒化物粒子を固定化する
  • 酸化チタンペーストを作製しガラス基板に固定化する
  • タンタル酸窒化物光電極を用いた水分解による気体生成の様子を観察する

活動を通して学んだこと

  • 実験の原理や上手く作業するコツなど、少しでも分からないと思ったことは何でも質問することが大切だと改めて思った。チューターの方でも、普段やらない実験を指導してくださっている場合もあるので、先の工程まで聞いて実験内容をしっかりと把握することが、より良い実験結果に通じるかもしれないと思った。
  • 光触媒に光を当てた時に起こる酸化還元反応を利用して、水を分解して水素と酸素を作ることができること。現在は効率面や触媒の安定性に課題があるが、さらなる光触媒の改良によっていつか太陽光エネルギーを利用して水素を安価で、かつ大量に生産出来ること。
  • 一つの物質を入れたり、入れなかったりするだけで、結果が大きく異なることが分かりました。
  • これまで燃料電池など、水素の利用方法については学んできたが、肝心の水素をどのように確保するかという点は不透明だった。今回の活動では、その問題が一気に解決したように思う。通常は天然ガスから合成するが、それでは化石燃料が必要であり、資源枯渇問題の解決にはならない。そこで活躍するのが今回使用した光触媒である。無限に存在する太陽のエネルギーを利用して、自ら水素を取り出すことができる、画期的な方法だと感じた。実験ではまず、触媒としてTaONを利用して、水の分解を行った。操作としては、計量した各物質を基盤の上に順に乗せていった後、加熱するのみであり、非常に簡単であった。しかし、肝心の触媒をどのように作製するかまで踏み込めなかったのは残念である。実験自体は問題なく成功し、気体が発生しているのを肉眼でも確認することができた。
    また、研究室のもう一つのテーマである環境浄化の実験も行った。手順は、酸化チタンをペースト状にしてスライドガラスに塗布して熱処理した後、色素であるメチレンブルーをかけたのみである。スライドガラスの一部分を遮った状態で光を当てると、その部分のみが青いままで、他の部分は酸化チタンの白色のみとなった。このことから、酸化チタンが光触媒として反応し、色素を分解したことが確認された。今回扱った内容はすべて最先端の技術であり、手順が簡単でありながら素晴らしい結果を得ることができ、とても驚いた。その反面、まだ効率などの面で実用化に移せない部分もあり、自分たちの課題でもあると感じた。
  • 地球の化学資源は限られている。残された石油はあと42年分しかない。これは富士山1/8杯に相当する。天然ガスも60年分、石炭122年分、ウラン100年分しかない。(2008年データ)これからの私達は化学資源に頼らず行きていかなければいけない。その為には新しいエネルギーが必要だ。そのエネルギーとして水素が注目されている。水素は二酸化炭素を出さずに電気を作ることができる。しかし今水素は主にメタンガスから作られており、合成時に一酸化炭素を放出してしまっている。そこで太陽光で水素を作る、人口光合成という方法が研究されている。将来的には、同じ太陽光エネルギーを使用するため水素生成施設と太陽光発電施設が同じ所に出来るかも知れない。まず一つ目の実験ではタンタル酸窒化物光電極を用いた水分解によって水素と酸素を生成した。太陽光で水を分解しようとすると、太陽の光は、水の中をエネルギーを持ったまま素通りで突き抜けてしまうため、光を吸収してそのエネルギーで水を分解する機能を持った光触媒が必要なのである。初めにTaOを電極に付着させた。透明であった板が電気を流すだけで黄色に変化し視覚的にもTaOが付着したことが分かりやすかった。次にアンモニア中で加熱し、まず一つ目の実験ではタンタル酸窒化物光電極を用いた水分解によって水素と酸素を生成した。太陽光で水を分解しようとすると、太陽の光は、水の中をエネルギーを持ったまま素通りで突き抜けてしまうため、光を吸収してそのエネルギーで水を分解する機能を持った光触媒が必要なのである。初めにTaOを電極に付着させた。透明であった板が電気を流すだけで黄色に変化し視覚的にもTaOが付着したことが分かりやすかった。次にアンモニア中で加熱しTaONにした。この機械はアンモニア以外にも様々な気体中で加熱することができるそうだ。高校での実験では空気中以外での実験は考えられないので、新鮮でとても面白かった。そして電極としての性能を評価した。綺麗にムラなくTaONが付着しているように見える電極と、あまり綺麗に付着していないように見える電極のデータがあまり変わらなかったことが驚いた。二つ目は酸化チタン光触媒粒子を用いた有機物の酸化反応について実験した。この反応は色素増感太陽電池に応用されている。酸化チタンペーストを均等に塗ることが大切で、一番難しかった。また500℃で焼くということが新鮮であった。最後に実際に光を当ててみると思っていたよりもハッキリと反応を確認することが出来ず、もっと酸化チタンペーストを厚く塗るべきであったと後悔した。
  • 備長炭と、アルミホイルを用いて電池を作った。電池の材料だけであれば・アルミホイル・備長炭・食塩水・キッチンぺーバーとたったの4種類である。中学の時、教科書の隅にのっていたその”サバイバル電池”に対し当時の私は、作りたいとも思ったが、「まあこんなこと知っておけば無人島でも発電できそうやなあ」なんて今思えばたいそうのんきな事を考えていただけであった。今回はそれを、仕組みを理解して作ることが出来た。 先人の発明家たちは電池を作る時、2種類の金属を舐めることで舌で電気を感じて組み合わせを考えていた と聞いて驚いたが、私が今回(舌で舐めてはいないが、)電流を確認したときは、本当に自分で作った物質に電気が流れる ということがわかると、とても嬉しかった。物質の化学エネルギーが電気エネルギーとして取り出され、風車がまわり、豆電球がつき、食塩水を分解することができる。しかも今回は特に、自分たちの周りにある物質ばかりで作れたのだから余計に感動した。【物質エネルギー化学】についてまた一つ知ることができて、とてもいい経験だった。内容とは少しそれるが、今回のチューターの方が、詳しくは聞けなかったが中国人の女性であったと思う。京都大学の国際性にも触れることが出来た1日だった。

2017年12月16日

  • 実施場所

    桂キャンパス A2棟509号室

  • 当日の講師

    辻 康之 教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 辻研究室)
    藤原 哲晶 准教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 辻研究室)

  • チューター

    井口 雅貴、清岡 新、光武 直哉

  • 実習の内容

    パラジウム触媒による鈴木-宮浦カップリング反応を使って、水中、空気下での炭素ー炭素結合形成反応によるビアリール合成反応を行った。また、鈴木-宮浦反応で得られる化合物の発光挙動についても観察した。

  • 反応が進行し、生成物が析出する様子を観察
  • 反応が進行し、生成物が光る様子を観察

活動を通して学んだこと

  • フェニル安息香酸の生成の実験におけるクロスカップリング反応におけるパラジウム触媒のサイクル図の見方。酢酸パラジウムを反応物の溶液に加える前に、炭酸カリウム(塩基)を加えると反応がうまく進むこと。蛍光を発する分子を合成する際、より多くのパラジウム触媒を使った方が蛍光が明るいことから、パラジウム触媒自身は反応して無くならないが、その量がある程度多い方が反応に有利であること。生成物を集める時にろ紙を削らないように注意すること。
  • クロスカップリングの実験を行った。2010年にノーベル化学賞を受賞された研究で、今では薬や太陽光発電などに使われている。クロスカップリングとは異なる二つの構造を持つ分子を結合させて一つの分子を得る反応である。その結合にハロゲンとホウ素を用いると鈴木-宮浦反応、ハロゲンと亜鉛を用いると根岸反応と呼ばれる。亜鉛が空気中では不安定なのに対してホウ素が安定なことから今回は鈴木-宮浦反応を実験した。 実験は3つ行った。1つ目はパラジウム触媒を使って炭素と炭素を結合させた。私は酢酸パラジウムを入れすぎてしまい溶液が白くなるはずが黒くなってしまった。酢酸パラジウムは集まりやすい性質があり、入れ過ぎてしまった量が集まったから黒くなったそうだ。酢酸パラジウムを入れた後は溶液がドロドロしていた。その後塩酸を入れ吸引濾過をしてから溶液を濾過し、無事黒い酢酸パラジウムを取り除くことができた。最後に再結晶を行った。しかしエタノールを入れすぎてしまい、過飽和状態になり生成物は現れなかった。そこで水を入れ溶解度を下げたことで、無事生成物が現れた。 2つ目は光る分子を作った。酢酸パラジウムのアセトン溶液を加えブラックライトを当てると青と黄色の2色が発光した。界面ははじめ泡が見えたがだんだん収まっていった。次にヘキサンを加えた。すると青かった所が緑に発光した。一緒に実験をしていた受講生の試験管と私の試験管を混ぜたらどうなるか気になり、実験してみた。すると4層に分かれるのではなく2層が厚くなった。やはり二つの溶液の比重が関係していることがわかる。また、時間が経つと強く光った。 3つ目は違う光る分子を作った。酢酸パラジウムのアセトン溶液を入れると青く光った。そこで、酢酸パラジウムのアセトン溶液を入れながらブラックライトを当てるとどうなるのか気になり、実験してみた。するとだんだんぼわぁっと光った。これも2つ目の実験と同様時間が経つと強く光った。 今回の実習では実験以外にもさまざなことを教えていただいた。研究する上で英語がどれほど大切か、論文を発表するということはどういうことなのか、冬場の実験は気温が下がるため反応が進みにくいなどだ。これからも高校で英語学習に積極的に取り組みたいと思う。 
  • 今回は、今までで一番、目に見えて結果がわかったのでとても興奮しました。また、入れるものを一つ変えるだけで、結果が変わり、とても面白かったです。
  • 講義では、クロスカップリング反応の仕組みやその意義を学んだ。触媒によって異なる構造を持つ分子を結合させるという技術が、今日の太陽電池や高血圧治療薬に応用されているということには非常に驚いた。また、鈴木-宮浦反応がノーベル化学賞を取ったことに関連して、ノーベル賞がどのような場合に授与されるかなども教えてもらった。これまでノーベル賞のニュースがテレビなどで流れてもなんとなく自分とは関係のないことだと思っていたが、一気に身近に感じるようになった。 実験では、クロスカップリング反応で炭素をつなぐ実験と、光る分子を作製する実験を行った。前者では、最初の計量に時間がかかってしまったが、最終的に非常にきれいな結晶を取り出すことができた。また、結晶をより高純度で取り出すための方法をいくつも学んだ。特に、炭酸カリウムを取り除くために塩酸を加えて中和させるという方法には非常に驚いた。後者では、試薬を混合しただけでとても美しい蛍光が見られた。また、分子構造の僅かな違いだけで蛍光色に大きな違いが見られたり、ヘキサンを加えると色が変化したり、不思議なことがたくさん起こった。蛍光の仕組みまでは理解できなかったが、化学の面白さを体感することができた。 全体を通して、現代の有機化学を支える重要な技術に知識の面でも実験の面でも触れることができて、とてもよかったと思う。
  • 聞きなれない物質を用いた反応を取り扱ったが、ここでこれが多いとどうなる、など一つ一つの物質が反応にどう関わるのかを説明してくださったため、物質の働きを考えながら実験できた。また、実験が上手くいかなかったときも、改善案をいくつも試してくださり、理屈が分かっていればどうにでも持ち直せるという化学実験の楽しさを感じた。反応自体もゲル化したり発泡したりと、見ているだけで面白かった。 また、よく観察することで反応の過程を知ることができ、自分たちで実験が上手くいくよう工夫できたのでとても楽しかった。

2017年12月2日

  • 実施場所

    桂キャンパス A2棟ラウンジ

  • 当日の講師

    安部 武志 教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 安部研究室)
    宮原 雄人 准教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 安部研究室)

  • チューター

    張 藝潼、塩田 隆人、伊藤 優汰

  • 実習の内容

    初めに、安部教授が本実験の背景知識に関して高校化学の内容をもとに簡単な講義を行った。続いて、備長炭とアルミホイル、食塩水、キッチンペーパーからなる備長炭電池の作製を宮原助教およびチューターとともに行った。その際、工夫すべきポイントについて相互ディスカッションを行いながら進めた。完成した備長炭電池について、電圧と電流、モーター風車の回る速度、豆電球の光度から性能を評価し、性能に差が生じた理由について考察した。また、備長炭電池を利用した水電解を行い、実際に水素発生が進行している様子を観察した。最後に、講義に出たVoltaic pileの試作を行い、備長炭電池と同様に性能の評価を行った。

  • 実験内容に関する講義
  • 作製した備長炭電池を使用して水素生成を行う様子

活動を通して学んだこと

  • 備長炭電池を作る時は極と電解質溶液(キッチンペーパーに染み込ませた)の接触面積を大きくすると電流がよりよく流れること。電圧はほぼ両極の物質(のイオン化傾向)で決まること。 身近な硬貨を利用してボルタパイルを作れること。
  • 「作り方ではなく貯め方」というのが今回のキーワードではないかと思う。再生可能エネルギーでの電気の作り方に注目が集まる中、発電した電気をどう貯めるかという貯め方について学んだ。貯めるのには電池を使用する。現在ではリチウムイオン電池が多く使用されているが、よりエネルギー密度が高い電池が求められている。 実習では備長炭を用いて電池を作成した。より表面積を広く、キッチンペーパーによる抵抗を少なくすることが大切であった。結果豆電球を少しつけることに成功したので、しっかりと作れたのではないかと思う。 今回を通して今まで再生可能エネルギーを作ることに興味があったが、貯めるという電池にも興味が湧いてきた。将来電池を研究してみたい。 
  • 電池の仕組みやイオンなど、高校化学と非常に関わりのあることをかなり深く学ぶことができた。例えば、高校化学でも電池の種類を学ぶことはあるが、その一つ一つの仕組みや特徴まで詳しく学ぶことはなく、大学ならではだと感じた。また、研究室のテーマである二次電池のこともたくさん教えていただいた。これまで二次電池を作ることは難しいということは知っていたが、その理由までは知らなかった。例えば、ごくわずかな性能差が何百回も使っているうちに大きな差になることにはとても驚いた。また、電池の歴史などの雑学も学べたことで、より化学に対する興味が出てきたように思う。 実験では、備長炭電池を作った。一人ひとりがそれぞれの電池の性能を上げるために様々な工夫をしていたのはとてもおもしろかった。その効果もあってか、全員がモーターを回せたり、豆電球をつけられるほどの電気エネルギーを生み出せたのは非常によかったと思う。三回目になって、お互いのことをだんだんと知れてきたこともあって、それぞれが工夫した内容を伝えたり、その結果を発表したりもできるようになってきて、対照実験としての側面も表れてきたように思う。この調子で仲を深めてって、よりよい実験にしていきたい。また、積極的に実験に取り組んでいたおかげで、硬貨を使った別の実験にも挑戦することができた。この電池はそれぞれが担当部分に責任を持って、力を合わせて作らないと十分な効果が得られないため、これまでの成果を試すことができたように思う。
  • 備長炭と、アルミホイルを用いて電池を作った。電池の材料だけであれば ・アルミホイル・備長炭・食塩水・キッチンぺーバー とたったの4種類である。
    中学の時、教科書の隅にのっていたその”サバイバル電池”に対し当時の私は、作りたいとも思ったが、「まあこんなこと知っておけば無人島でも発電できそうやなあ」なんて今思えばたいそうのんきな事を考えていただけであった。今回はそれを、仕組みを理解して作ることが出来た。  先人の発明家たちは電池を作る時、2種類の金属を舐めることで舌で電気を感じて組み合わせを考えていた と聞いて驚いたが、私が今回(舌で舐めてはいないが、)電流を確認したときは、本当に自分で作った物質に電気が流れる ということがわかると、とても嬉しかった。 物質の化学エネルギーが電気エネルギーとして取り出され、風車がまわり、豆電球がつき、食塩水を分解することができる。 しかも今回は特に、自分たちの周りにある物質ばかりで作れたのだから余計に感動した。【物質エネルギー化学】についてまた一つ知ることができて、とてもいい経験だった。内容とは少しそれるが、今回のTAの女性の方が、詳しくは聞けなかったが中国人の女性であったと思う。京都大学の国際性にも触れることが出来た1日だった。
  • 中学校で習った備長炭電池を自作し、電圧や電流の値を見ることで、イオン化傾向を実感することができた。また、備長炭電池の電流量を増やす工夫が多くあり、どんな単純な仕組みでも本当に理解していないと工夫はできないと感じた。

2017年11月18日

  • 実施場所

    桂キャンパス A2棟504号室

  • 当日の講師

    大江 浩一 教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 基礎炭化水素化学分野)
    三木 康嗣 准教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 基礎炭化水素化学分野)
    岡本 和紘 助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 基礎炭化水素化学分野)

  • チューター

    笹倉 康平、江口 輝、徳永 大祐

  • 実習の内容

    有機合成において欠かせないプロセスとなっているGrubbs触媒を用いたオレフィンメタセシス反応により、蛍光発光する分子を合成し、スペクトル解析により生成物の同定と物性調査を行った。

  • 岡本助教による実験講義と発光原理の解説
  • 大江教授による実験技術指導
  • 実験風景とチューターによる指導

活動を通して学んだこと

  • 二重結合にはσ結合とπ結合があり、π結合の方が弱く、π共役系が長いほど励起エネルギーが低下するため、π共役系を拡張するように分子を作ることで、より低いエネルギーで電子遷移を起こし、可視光を発する有機分子を作ることができるということ。窒素置換の操作の仕方。桐山漏斗の使い方。生成物の収率を上げるための様々な工夫のしかた。
  • 「どうしてこの白い粉で光るようになるのだろう?」私の正直な実習中の感想だ。今回はフェニルスチレンをGrubbs触媒を用いて、目的物を生成した。触媒を入れ撹拌するだけで新しい物質を作ることができることがあまり信じられなかった。実際ブラックライトを当て固体が光った時、私の手でつくったんだと、大きな達成感を味わうことが出来た。また私のサンプルをH NMRで精密に分析していたいた結果でも、しっかりと目的物を作ることが出来ていて安心した。 この世の中に有機化合物は登録されているだけでも一億2900万個あるそうだ。研究には創造力が大切だと改めて感じた。
  • 今回は、発光有機分子を作ったが、自分でそれを作ったということに、とても大きな喜びを感じ、そうして新しいものを作るということに大きな興味が湧きました。
  • 講義では、進路選択が迫られている状況では非常にありがたい各分野の特徴や、メインである有機化学について学んだ。これまでは、原子を自分で組み合わせて新しい分子を作り出せるということしか知らなかったが、結合の仕組みや具体的な実用例を教えていただいて、非常に理解が深まったように思う。特に、フグの毒の成分であるテトロドトキシンをきっかけにして医薬品を作ったというエピソードや、近iPhoneXで話題になっている有機ELの素材などにはとても興味が惹かれた。また、オレフィンメタセシスなどの触媒反応について教えていただいたときには、その反応の種類の多さや複雑さが様々な有機化合物をつくるために必要な要素になっているのだと感じた。発光についての説明では、電子遷移による励起や分子軌道の話など、難しいことが多かったが、何度も丁寧に説明してくださって本当にありがたかった。実験では、手順がそこまで多かったわけではないが、シュレンクなどの普段は使わない専門的な器具も多く、理解するまでに時間がかかってしまった。しかし、パートナーとの協力もあって、実験は無事成功し、純度も収率も高くて本当に嬉しかった。今回の実験を通して思ったことは、実験は非常に論理的に組み立てられているということだ。酸素と反応しやすいものを扱うときには窒素を充満させ、水が不純物となってしまう場合にはヘキサンを使用して、ろ過の効率を上げるために下から吸い取って、と、ありとあらゆる手順にきちんと理由があって、本当に驚いた。いずれは自分でもこのような実験を組み立てられるようになりたいと思った。
  • 私が知っている触媒反応といえば、「過酸化水素水を用いて酸素を生成するとき二酸化マンガンをいれて…」という様なもので、それ以外はほとんど無知であった。 説明を受けた時「化学反応を手助けする、化学反応式には書いちゃいけない 」といった教諭の発言が思い出されたが、それが単に化学変化を促進するだけでなく、むしろそれがないと対象の変化が起きないことになってしまうことなどを初めて知った。 
    今回の反応でGrubbs触媒を窒素雰囲気下で用いる必要があることや、フェニルスチレンという基質がその触媒反応によって発光分子が生成されることはもちろん、私にとってそれが2005年にノーベル化学賞を受賞していることさえ全く知らなかった。しかし、助教授やTAの皆さんの指導のおかげで、その反応はオレフィンメタセシスという名を持っており、二つのオレフィン(C-Cの二重結合でできたエチレン系炭化水素)同士で結合の組み換えが起こる反応を意味することを、細かく理解することが出来たと思う。 今回はmmol、μmol単位で分子を扱ったものの、測定がうまく運び、68.0%の高収率で目的物を得られることに成功し、また得られた対象にブラックライトを当てて、青く光らせることができた。とても嬉しかった記憶がある。 また、自分ではなかったが同じチームの代表メンバーの1^H NMRによる同定の結果が非常にきれいなもので、これもまた自分のことのように嬉しかった。 ELCASに参加してから、『研究』はこの自他に関わらない嬉しさに支えられている と思うことが多くなった気がする。
  • 学校の授業でほとんど理解できなかった授業の余談の内容が今回の実習内容に含まれており、今までよりも随分と理解が進んだので大変有意義だった。 大学の授業内容を少しだけでも知れて良かった。 また、実験器具は仕組みを理解して使用することが大変重要だと思った。

2017年11月4日

  • 実施場所

    桂キャンパス A2棟408号室

  • 当日の講師

    松井 敏明 准教授(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 江口研)
    室山 広樹 助教(工学研究科 物質エネルギー化学専攻 江口研)

  • チューター

    宮﨑 一成、窪田 亮眞、大城 悠希

  • 実習の内容

    固体高分子形燃料電池の膜-電極接合体(MEA)を実際に作製し、発電する実験を行った。また、仕様の異なる電池を作製してその性能を比較し、電池特性への理解を深めた。

  • 物質エネルギー化学_実習風景電極触媒のインクを調製している様子
  • 物質エネルギー化学_実習風景燃料電池を発電し、風車をまわして観察している様子
  • 物質エネルギー化学_実習風景電池性能について、PCモニターを見ながら説明を受けている様子

活動を通して学んだこと

  • 道具から作る実験が楽しいこと。手順を確認することが重要だということ。トラブルが起きた時に落ち着いて対応すること。
  • スターラー、プレス機、マイクロピペットなど様々な実験器具の使い方。水素がガス拡散層を通って触媒インクに触れ、水素イオンになって電解質膜を通り、陰極から陽極へ伝わるなどといった、固体高分子形燃料電池の内部の仕組み。 燃料電池は発電効率が良いが、触媒の材料が高価であることや、ガス漏れなどの技術的な問題によって電圧、電流が理論値に達しないという課題が残されており、さらに全国的に水素の補給地点が多くないため、水素燃料車など、燃料電池を利用したものが普及するのに時間がかかること。 また、実験では電解質膜の厚さを変えて異なる発電結果が出たように、燃料電池の様々な部分の組み合わせを変えることで異なる発電効果が期待でき、それ故に燃料電池は色んな企業や大学で、それぞれのテーマで研究され続けられていること。
  • 今、地球のエネルギー問題は深刻化している。そして現代の人々は化石燃料に変わる代替エネルギーを探し求めている。そんな中、燃料電池が期待されている。燃料電池とは水素と酸素を使って発電する電池である。水素は一次エネルギーから効率よく作り出されるため、二酸化炭素を削減することができる。また発電時に発生する熱を使うことができる。燃料電池には様々な種類がある。固体高分子形(PEFC)、リン酸型(PAFC)、溶解炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)、アルカリ電解質形(AFC)と呼ばれている。現在最も発電効率が高いとされているのはSOFCの44~72%である。実用化もされていて、例としてはエネファームとMIRAIなどが挙げられる。 今回の実習では燃料電池を作成し、電解質膜の厚みによる電池性能の違いを実験した。結果は薄い方がよく発電した。考察としては、薄い方が水素イオンが電解質膜を通る時、より薄い方が速く正極に移動できるからではないかと思う。
  • 実際に燃料電池を組み立ててみて、知識だけではなく、手先の器用さなど多くのものが自分には足りていないなと痛感した。ただ、これまで何かを組み立てるというのはあまり興味がなかったが、今回のように、それがどのようなものか詳しく知ったあとに、組み立てるのは、とても面白かった。
  • 講義においては、燃料電池がなぜ今注目されているのか、といった社会的なことから、他の電池や発電方法との対比、より細かな燃料電池の仕組みなど、非常に幅広く参考になることを教えていただきました。震災以降火力発電に頼ってしまっている日本にとって、新たなエネルギー源を確保することは急務であり、その可能性の一つとして燃料電池が期待されているということは、エネルギー分野について考えていく中で非常に重要な事だと感じました。また、発生した熱をお湯を沸かすのに使ったり、H2は様々な一次エネルギーから製造可能な点など、実用的なこともたくさん教えて頂き、非常に参考になりました。 実験では、超音波スターラーやマイクロピペットなど、これまで使用したことのない器具をたくさん扱いましたが、学生の方々を中心に丁寧に使い方を説明してくださって、とても勉強になりました。また、高校では下準備を先生方がしてくださっていることもあって、3時間もかかる実験は初めてでしたが、楽しみながらも集中力を切らさずに最後までやり遂げることができました。そして、実験の終盤では、ミスが発覚した際も冷静に協力しながら対処して実験をやり直せたことで、改めて諦めないことの大切さを学びました。実験終了後は他の条件下で実験を行っていた他班の結果と比較することで、燃料電池をよりよくする要因を自分で見出すこともできました。
  • 「水素と酸素を混ぜれば電気ができて、排出物はなんと水だけハッピー!!」私の燃料電池に対するイメージとはこんな浅はかなものであった。
    だが、単にそれだけでは水素が爆発して燃えるだけで電気エネルギーとして取り出すことが出来ないとわかった。  また自分で作ることによって、燃料電池が数々の部品からできていることを知り、それが故に普及が遅れているのか、とも感じた。  実際に水素と酸素を用いて電流が流れるのを確認できふとすごく嬉しくなった。「モノ作り」にはこの興奮が欠かせないのかもしれない。
  • 今までぼんやりとしたイメージしか持っていなかった燃料電池について、社会でも普及してきていること、様々な種類があること、など知識はもちろん、実際に作って動かしてみることで仕組みや他の電池との違いなどが分かり、燃料電池について今までよりも深く理解できて楽しかったです。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート