京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース前期]B群 2017年10月21日

生物と温度について

工学研究科 合成・生物化学 梅田真郷 教授

私たちは、日頃から今日は暑いなあ、寒いなあ、と言っていますが、生物の長い歴史を考えると、生物種の存亡を左右する最も大きな要因の一つが温度です。一方、私たちの体は、炭素や水素、酸素などの限られた原子の組み合わせによって作り出されるタンパク質や脂質などの分子から出来ています。このような分子の働きや集合状態を規定するのも温度です。今回の講義では、地球温暖化による生物種の大量絶滅、生物の温度適応や温度センサー、動物の体温調節など、生物と温度の関わりについて分子から環境までの様々な視点から考えてみようと思います。

薬と受容体の化学

薬学研究科 構造生物学 加藤博章 教授

薬が効くとはどういうことなのか、化学の言葉で考えてみましょう。細胞膜には情報を伝達する分子の標的としてタンパク質で作られた受容体と呼ばれる分子があります。そして、ある受容体に、ある分子が作用すると、その受容体に変化が生じて細胞内へ信号が伝わり、生理学的な変化が引き起こされます。例えば、アドレナリンというホルモンは、アドレナリン受容体に作用して、心臓の心拍数を上昇させたり、血管収縮を引き起こしたり、気管支の拡張を促したりすることが知られています。そして、アドレナリンの作用を真似できる分子やその作用を遮断する分子が作られ、薬として用いられています。では、それらの分子にどんな特徴があれば、アドレナリンと似た作用を示したり、反対にその作用を邪魔したりできるのでしょうか。そもそも、アドレナリンが受容体に作用するとは、それら分子の間にどんなことが起きているのでしょうか。これら薬と受容体の作用メカニズムのなぞに化学で迫っていきましょう。

[基盤コース前期]B群 2017年10月7日

身近な栄養素の意外な働き

農学研究科 食品機能学 佐藤健司 教授

食品中の3大栄養素の中で、糖質・資質はエネルギー源となり、タンパク質は体のタンパク質を合成する材料になると習ってきたと思います。もちろん、これらは重要な働きではありますが、糖質、脂質、タンパク質の代謝産物は生体の炎症反応、解毒反応、創傷治癒に大きく関わっていることが急速に明らかになってきています。また意外な成分がエネルギー源になっていることも分かってきています。本講義では、これらの食品成分の新しい機能を紹介し、極端な食生活の問題点や食品成分を用いた健康増進や病者のサポートに関わる新しい動きを紹介します。

原子核の不思議な振る舞いと元素の起源

理学研究科 原子核理論 延與佳子 准教授

私達の身の回りにある物質は様々な種類の元素からできています。陽子や中性子という粒子(核子)が数個~数百個集まって原子核を構成し、それを芯にして水素や炭素、鉄、金などの元素が存在しています。今の地球上にいろいろな種類の元素が存在しているのは、宇宙の歴史の中で星が誕生と終わりを繰り返す間に、核子が次第に集まったり離れたりを繰り返しながらいろいろな核子数の原子核が形成されていったからだと考えられています。最近では新しい元素を大型加速器を使って人工的に作ることも可能になりました。粒子の集まりである原子核をミクロに見ると様々な不思議な現象が見られます。原子核全体が変形したり、粒子がいくつかの塊に分かれたクラスター構造ができたり。ミクロな世界で何が起きているのか、元素がいつどこで作られたか、そんな不思議に触れてみましょう。

平成29年度 実施レポート

年度別の実施レポート