京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース前期]B群 2016年10月15日

情報の理論

河原 達也 教授

情報とは何か?情報とデータはどう違うのか?情報の量はどのように計測するのか?本講演ではこのような素朴な疑問に答えるとともに、様々な情報を符号化する方法について述べます。その上で、私たちが日常使っている言葉の情報を計算機でモデル化する方法について解説し、それが音声認識や機械翻訳などの実現において重要な役割を果していることを説明します。ディジタルな情報が、確率的な理論に基づいていることを理解して頂ければと思います。

算術幾何平均のアルゴリズム -高校数学から計算数学へ-

中村 佳正 教授

相加(算術)平均と相乗(幾何)平均の不等式【数学Ⅱ】と、数列とその極限【数学B、数学Ⅲ】から、約200 年前にガウスが見つけた「算術幾何平均のアルゴリズム」が定義されます。このアルゴリズムは、振り子の周期を表す楕円積分を計算する上で、コンピュータ時代でも計算精度と計算時間の両面でなお最強の計算アルゴリズムであるだけでなく、楕円関数論という数学の花形分野に結びつきました。この講義では、基本的な論理を積み上げていくうちに思いがけない高みに立ち、あらたな応用を獲得することができる数学の面白さを体験していきます。

薬と受容体の化学

加藤 博章 教授

薬が効くとはどういうことなのか、化学の言葉で考えてみましょう。
細胞膜にはいろいろな情報を伝達する化学物質の標的としてタンパク質で作られた受容体と呼ばれる分子があります。そして、その受容体にホルモンのような特定の化学物質すなわち分子が作用します。すると、受容体に何らかの変化が生じて細胞に対して信号が伝わり、生理学的な変化が引き起こされます。例えば、アドレナリンというホルモンは、アドレナリン受容体に作用して、心臓の心拍数を上昇させたり、血管収縮を引き起こしたり、気管支の拡張を促したりすることが知られています。そして、アドレナリンの作用を真似できる分子やその作用を遮断する分子が作られ、薬として用いられています。
では、それらの分子にどんな特徴があれば、アドレナリンと似た作用を示したり、反対にその作用を邪魔したりできる薬となるのでしょうか。そもそも、どうしてアドレナリンは、その受容体に作用することができるのでしょうか。もっとさかのぼって、アドレナリンが受容体に作用するとは、それぞれの分子と分子の間にどんなことが起きていることなのでしょうか。これら薬と受容体の作用メカニズムのなぞに化学で迫っていきましょう。

[基盤コース前期]B群 2016年10月1日

学習する人工知能のつくりかた

鹿島 久嗣 教授

人工知能はコンピュータ上で知能の実現を目指す情報学の一分野であり、近年、将棋・囲碁などのゲームで人間のプレイヤを上回る強さを発揮したり、自動運転や医療診断などさまざまな分野で躍進するなど、大きな話題になっています。その中核となっているのが機械学習とよばれる経験(データ)をもとに、コンピュータプログラムが「自ら賢くなる」ことを実現する技術です。この講義は機械学習の基本的な考え方と、これがどのように実現されているかというその裏側の仕組みについて紹介します。

岩石から地球内部を読み解く

河上 哲生 准教授

地質学は、地層や岩石中に残された記録を読み取り、地球の成り立ちを明らかにする学問です。小惑星から試料を持ち帰ることができる現代にあっても、人類が掘削できたのは地殻の深さ約12km までです。地下深部の様子を知るには、現在地表に露出している「過去に地下深部で形成
された岩石」中の記録を読み取り、高温高圧実験やモデル計算などと組合せて推定することになります。本講義では、ヒマラヤのような大陸衝突帯の深部や、日本列島直下のような沈み込み帯深部で起きている現象を、岩石からどのように推定しているのかを紹介します。

有機反応の機構を考える

松原 誠二郎 教授

自然科学の基本は、観察であると言われますが、それだけではありません。観察した事を人に正確に伝えることも同じぐらい重要です。この伝え方を学ぶことが科学の勉強の重要な側面です。有機化学において反応を記述するやり方は、構造式と電子の流れを示す矢印を使用します。これができると、暗記を命じられていた有機反応が格段と解り易くなります。有機化学が暗記の学問でなく式を用いた記述で表現する論理的なものであることを学びましょう。

平成28年度 実施レポート

年度別の実施レポート