京都大学ELCAS(エルキャス)

実施レポート

[基盤コース後期]宇宙地球

2017年2月4日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科1号館466号室

  • 当日の講師

    河上 哲生 准教授(地球惑星科学専攻 地質学鉱物学分野)

  • チューター

    門田 康弘

  • 実習の内容

    成果発表会に向けて、発表用パワーポイントスライドの作成指導を行った。はじめの20分程度で発表会の概要説明とパワーポイントを使ったプレゼンテーションのコツを説明し、残りの時間を2班に分かれての発表テーマ決定、構成の議論、実際のファイル作成に充てた。

  • 宇宙地球_実習風景2班に分かれての、パワーポイントスライド作成実習風景
  • 宇宙地球_実習風景
  • 宇宙地球_実習風景

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • これまでの実習のまとめをして共通点が見つかったのが興味深かった。例えば、3回目の活動で学んだ回折が6回目の活動の鉱物の分野で用いられており、後半の地球分野の3回は地球の様子を見る点で似ていた。これらを考察することで全体としての振り返りができ、内容の理解をより深めることができた。また、プレゼンテーションの詳しいノウハウを教えてくださったため、高校の活動発表にも生かすことができるという点においても有意義な活動だった。パワーポイントは、伝えたい内容を12分で発表できるように絞り込み、聞き手に分かりやすいようにかみ砕きながら作成し始めた。しかし、取捨選択は予想以上に難しく作成は難航すると思われる。ただ、学んだことを発表できるという素晴らしい機会が折角与えられているので存分に楽しむつもりだ。
  • まず、どれだけの実習内容を発表に取り入れるかで非常に悩んだ。そして、宇宙地球の中でも地球の分野に絞って発表することに決まった。パワーポイントの作成はまだまだで、次の活動で完璧に仕上げたい。

2017年1月21日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科1号館466号室、062号室、063号室

  • 当日の講師

    三宅 亮 准教授(地球惑星科学地質学鉱物学分野)

  • チューター

    北山 晃、伊神 洋平

  • 実習の内容

    イリデッセンス(屈折率の異なる2相の薄膜干渉による構造色)を示す長石の一種であるラブラドライトを、集束イオンビーム加工装置により試料加工し、透過型電子顕微鏡にて観察した。
     はじめに、講義形式で長石および電子顕微鏡の原理を紹介するとともに、イリデッセンスを示す長石としてラブラドライトを手に取って見てもらい、その後、担当教員のサポートのもと、実際に電子顕微鏡を用いてラブラドライトの観察を以下のとおり実施した。

    ・まず、ラブラドライトの表面を偏光顕微鏡で観察した。
    ・集束イオンビーム加工装置を用いて、透過型電子顕微鏡観察用の試料作製を行った(観察したい領域を削り出し試料のピックアップを行った)。
    ・最後に、実際に加工したラブラドライト試料を、透過型電子顕微鏡にセットし、電子回折図形の取得や組織観察をおこなった。
    ・観察結果(化学組成の異なる2相の薄膜が交互に並んでいる様子)を踏まえて、ラブラドライトのイリデッセンスについて考察してもらい、解説を行った。

  • 宇宙地球_実習風景講義の様子
  • 宇宙地球_実習風景集束イオンビームを用いた透過型電子顕微鏡試料の作製
  • 宇宙地球_実習風景透過型電子顕微鏡による長石試料の観察

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 鉱物の基礎を学んだ後、長石の一種であるラブラドライトを透過型電子顕微鏡を用いて観察した。ラブラドライトは干渉して青く見える鉱物であり、この干渉がどのようにして生じるのかを調べるのがこの観察の目的である。透過型電子顕微鏡(TEM)のピント合わせなどの基本操作を学び、実際に試料を観察して細かい縞状の模様を見た。さらに試料の傾きを調整して電子線回折像を作った。回折像は長方形の格子状に点が並んだものであった。また、鉱物の元素組成を調べその情報を2次元にマッピングすることで、元素の分布が僅かに縞状になっていることを確認した。これが、試料に見えた縞状の模様と対応しているという。これは電子線を照射したときに発生するX線のエネルギーが異なることを応用している。そして、試料作りの一部の作業も実際に行うことができた。走査型電子顕微鏡(SEM)で見ながら、鉱物からマイクロメートル単位の試料を針で取り出し、白金の蒸気を吹きかけて観察するための小さな台に台に固定した。マイクロメートル単位の操作を初心者でも難なくできるような現代の技術に感動した。ラブラドライトの青色は多重膜干渉の原理で説明できることや、この現象を構造色ということを学んだ。また、ラブラドライトには低温で不混和領域があり、ナトリウムとカルシウムが分離することから、層状の構造ができるそうである。
  • 鉱物の構造を調べるために電子顕微鏡は必要ないだろうと思っていたが、結晶の構造と原子の並び方に深い関係があることを知り、実際に実習で確かめることが出来た。試料作成の一部は、試料をうっかり壊してしまわないように慎重に装置を動かさねばならず、神経を使った。試料を電子顕微鏡で覗く時には、フォーカスがきっちり合うように何度もピントを合わせねばならず、根気の要る実験だった。

2017年1月7日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科1号館462号室

  • 当日の講師

    風間 卓仁 助教(地球惑星科学専攻)

  • チューター

    石井 杏佳、栗原 剛志

  • 実習の内容

    本実習では、まず最初に測地学に関する本「地球が丸いってほんとうですか?」の感想を話し合い、地球の形やその時間変化を把握するのに測地学が有効であることを確認した。次に、重力観測実習にあたり、重力加速度や微分といった事前知識について学んだ。その後、可搬型相対重力計を用いて理学部1号館の各階における重力値を測定した。講義室に戻って今回の測定結果を解析した結果、理論計算によって予想される各階間の重力差よりも、測定された各階間の重力差のほうが小さいことが分かった。理論値と測定値のずれについて考察したところ、建物の万有引力の影響が無視できないことが指摘された。最後に、地上や上空からさまざまな方法で重力測定を行うことで、地震時地殻変動・火山活動・氷床融解・地下水流動といった質量分布時空間変化を把握でき、地球表層およびその近傍の物理現象ダイナミクスを理解できることを知った。

  • 宇宙地球_実習風景理学部1号館における相対重力測定
  • 宇宙地球_実習風景相対重力測定の解析結果
  • 宇宙地球_実習風景重力測定データの解析

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 相対重力計を用いて建物の階ごとの重力を測定し、重力鉛直勾配を求め、それが理論的に求められる値より小さいのはなぜかを考察した。相対重力計の使い方を学ぶことができた。重力計の目盛りの読み方が難しかった。しかし、自分の測定を再現できるように、毎回同じように測定することが重要であるとわかった。その後の考察では、建物が建物内で重力を及ぼしているため、重力勾配が理論値より小さくなったと考えた。実際に、建物がどの程度、寄与しているのか計算できたらしてみたいと思った。重力観測が火山や地震、氷河など地球科学の様々な分野で応用されていることも学んだ。
  • 微分などまだ習ってない事柄が使われた大学生レベルの活動だったので、非常に難しかったですが風間先生のおかげで大部分を理解することができよかったです。重力測定は一見地味で大変なものでしたが、その仕組みはとても興味深く装置を使えて楽しかったです。そして、この活動で最もおもしろかったのは実際に重力測定を行うことで周辺の物質の影響を実感できることでした。質量を持つものが引力を持つことは知っていたのですが微々たるものだと思っていたので、測定値が理論値と違う理由が頭上の建物だとは考えていなかったので貴重な体験ができました。また、光では見えづらい地下のマグマや海洋の動きを重力で見られるという応用もおもしろかったです。

2016年12月17日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科1号館462号室

  • 当日の講師

    風間 卓仁 助教(地球惑星科学専攻)

  • チューター

    石井 杏佳、関 淳平

  • 実習の内容

    本実習では、まず最初に地球物理学や測地学について理解を深め、測地学を通して地球を観測することの重要性を認識した。次に、屋外でGPS受信機を携帯しながら吉田キャンパス北部構内を歩き、1秒ごとにGPS衛星から来る信号を受信した。その後、収録したデータを部屋に持ち帰って測位解析することで、自分たちの歩いた軌跡が得られることを確認した。最後に、GPSを用いて地球のさまざまな物理現象を観測することで、地球表層およびその近傍の物理現象ダイナミクスを理解できることを知った。

  • 宇宙地球_実習風景キャンパス内におけるGPS移動観測
  • 宇宙地球_実習風景理学部1号館屋上におけるGPS固定観測
  • 宇宙地球_実習風景GPSデータ解析

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 測地学というものの定義から教わることができ、幅広い研究内容に興味がわいた。大学の構内で何ヶ所でも観測を行うのがはじめは不思議に思っていたが、高い建物に囲まれていたことが原因だと分かって納得できた。実習後半はGPSが何に活用されているかの説明を受け、その中でもGPS波浪計が印象に残った。東日本大震災の時の津波警報の更新に使われたというのはすごいことだと思った。
  • 地球物理学という分野にはあまり馴染みが無かったが、今回の実習で大きく関心が持てた。一番驚いたのはGNSSを用いた測量で地球上で起こる諸現象のメカニズムが物理的に解き明かせるということで、火山の噴火を予測したり地震時の地殻変動が分かるだけでなく、天気予報や積雪量までもが分かるという応用範囲の広さにびっくりした。今回の実習では地球物理学の中の一分野である測地学についての実習で、京大構内を歩き回ってGPSでの測量を行い、取得したデータの解析と解釈を体験した。実習では受信側の位置をGPS衛星から得る単独測位と、既知点に対する相対的な座標を決める相対測位を行ったが、解析してみると2つのデータに大きなズレがあり、また単独測位ではまともにデータが得られていない点もあったりした。カーナビにも利用されている単独測位にも、建物が多い場所や森の中、地下では性能を発揮できないという弱点がある理由が分かった。またデータの誤差についての説明もして下さり、性質の違う2種類の誤差があることを学んだ。

2016年12月3日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科4号館504号室

  • 当日の講師

    岩室 史英 准教授(宇宙物理学教室)

  • チューター

    和田 一馬

  • 実習の内容

    レーザー光源とレンズなどの光学機器を利用し、光の性質に関する以下の実験と、それに関連した観測天文学に関する話題の講義を行った。
    実験内容
    1. レンズの性質と焦点距離の確認
    2. 回折現象の実験
    3. 光の干渉の実験
    4. 干渉計の組み立て
    詳細は以下参照
    http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~iwamuro/LECTURE/ELCAS/index.html

  • 宇宙地球_実習風景レンズの性質を確認
  • 宇宙地球_実習風景平行光線の調整
  • 宇宙地球_実習風景実験結果を解説

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 今回の講義は、後期の中で最も難しい内容だったと感じました。それにもかかわらず、ただ分からなかったと終わるのではなく、楽しかったなと終われるのがELCASの良さだと思いました。そのような中で最も興味を持ったのは回折についてでした。ELCASの講義で度々出てくるスペクトルの詳しい仕組みが分かった時には少し感動を覚えました。また、光の性質は天文学の観測において分かっていなければならないことだと痛感したので、さらに深く知りたいと思われました。
  • 光学の実験を行い、光の屈折やレンズの公式、回折、干渉などについて学んだ。様々な種類の干渉計があり、様々な用途で活用されていることを知った。例えば、恒星からの光を干渉させると、一つだけの望遠鏡ではわからない恒星の大きさが分かる。また、フィゾー干渉計は、平であることがすでにわかっている参照面とサンプルの鏡のそれぞれで反射した光を干渉させ、サンプルの鏡の歪みを測定できるというものである。マイケルソン干渉計は光を2方向に分割して干渉させるものであり、重力波望遠鏡にも応用されている。

2016年11月19日

  • 実施場所

    理学研究科附属花山天文台

  • 当日の講師

    野上 大作 准教授(宇宙物理学教室)
    石井 貴子 研究員(附属天文台)

  • チューター

    鄭 祥子

  • 実習の内容

    花山天文台の施設見学と太陽自転速度の測定を行った。70cmシーロスタット望遠鏡、18cm屈折望遠鏡、歴史館、45cm屈折望遠鏡の見学を行った。シーロスタット望遠鏡による分光観測も行う予定であったが、曇りのため観測は行えなかったため、今年の9月に他の高校生が取得したデータを用いて、測定を行った。同じデータを用いて各自で測定を行い、結果を比較することにより、測定誤差についても議論した。また、撮像データからも黒点やフィラメントの移動から自転周期を求めることができる点を、飛騨天文台SMART望遠鏡のデータをもとに確認した。

  • 宇宙地球_実習風景シーロスタット望遠鏡の動きを確認
  • 宇宙地球_実習風景18cm屈折望遠鏡の見学
  • 宇宙地球_実習風景各自の測定結果のまとめ

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 実際に天文台に行くことができたのが何よりも嬉しかった。今回の活動で1番学んだと思うのは、ドップラー効果についてだ。基盤コース前期の講演で系外惑星の観測方法の1つにドップラー効果の利用が挙げられていたため、やや意外な関連性に興味が湧いた。太陽の自転速度を計算するのに私は黒点の位置を追うことしか考え付かなかったので、太陽の端の光のスペクトルのグラフを、太陽が止まっているとした時の値を基準値として比較するというのに始めは戸惑ったが、太陽の西端と東端で2回計算をしている内に理解できた。また、有効数字の取り方や手作業の部分でかなり求めた値に差が出るということが分かった。 
  • 実際に望遠鏡を手動で動かしてみることで、昔の研究者達の研究の大変さを知ることが出来た。太陽の観測は天気の都合で出来ず残念だったが、蛍光灯や白熱電球からの光を回折格子に当てて分光することで、輝線やスペクトルを見ることが出来た。太陽の西端と東端の光の波長のズレを調べ、ドップラー効果の式を利用することで、太陽の自転周期を計算することが出来た。

2016年11月5日

  • 実施場所

    吉田キャンパス 理学研究科4号館504号室

  • 当日の講師

    長田 哲也 教授(宇宙物理学教室)

  • チューター

    長友 峻、善光 哲哉

  • 実習の内容

    最初に宇宙物理学教室屋上にある望遠鏡の見学をした。ファインダーで昼間の三日月を見てみた。次に可視光が電磁波の一種であること、さまざまな電磁波を観測して宇宙の研究が進んでいること、光が波と粒子の二重性を示すことを聞いた後、発光ダイオードに関する英語の解説を読んだ。続いて、ブレッドボードに抵抗と電池と発光ダイオードをつないで発光ダイオードを光らせてみた。発光ダイオードは5種類あり、どの色の光を発するかを実際に見てから抵抗の電圧とダイオードの電圧を測定し、各色の発光ダイオードで電圧が異なることを確認した。さらに抵抗を変えた場合の電圧を測定してその違いについて考察した。複数の発光ダイオードを並列につないだり、5種類のダイオードの中で唯一光っているように見えなかったものを携帯のカメラで撮影し、実は赤外線で光っていることを確認した。最後に受講生から天文学に対する質問を出して、それについて教員が1つずつ答えていった。

  • 宇宙地球_実習風景宇宙物理学教室屋上の望遠鏡をのぞく受講生
  • 宇宙地球_実習風景最初にスライドで今日の星空についての解説を聞く
  • 宇宙地球_実習風景電子回路での測定の結果をそれぞれ発表し、白板にまとめていく

今回の活動を通して学んだこと(抜粋)

  • 初めて望遠鏡のドームに入った。マルチメータやブレッドボードの使い方を教えていただいて、LEDの電子回路の抵抗や電圧などの様々な量を測定した。電子回路を色々と組み変えて調べた結果をもとに、LEDの性質を考えた。LEDと光電効果は逆の関係にあるということを学んだ。LEDの電圧は色によって異なり波長の長いものは低く、波長の短いものは高いという傾向が実験結果から読み取れた。しかし、緑色と青色に関しては緑色の方が電圧が高いという結果になった。緑色のLEDは発光するのに必要な電圧以上に電圧を降下させ、余分な電圧を捨てているというような説明があったが、それは熱の形で出されているのだろうかと思った。実験ノートを整理して書くのが難しかった。自分の考えや実験の内容、結果をうまくまとめられるようにしたい。 
  • 小、中学校とかでは、実験するときに先生の指示を聞いたり、プリントに書いてあることを見たりしてそれ通りに実験していたけど、今回は自分の好きなように、自分が知りたいことを実験して、メモをして、考えたので、とても面白かった。自分で考えることはとても大切だと思った。

平成28年度 実施レポート

年度別の実施レポート